婚約破棄して本当に妹と結婚するんですね?
SORA
第1話:婚約破棄
「マリン、君とは婚約破棄する」
私はため息しかでない。
やっぱりそうなるわよね。
私の予言が外すわけないものね
「ハリー殿下お言葉ですが、本当によろしいのですか」
念のために確認しておくことにした。と言っても結果はわかっているのだけど。
殿下はそれは嬉しそうに隣にいるナナの腰を抱き寄せると、威厳もへったくれもない気持ち悪い顔で述べる。
「当たり前だ。君より妹のナナの方がどう見ても魅力的だろう」
殿下は変態なのね。大きなお胸好きなのは有名だったけど、こういう集まりの時くらいは自粛していただきい。鼻の下を伸ばしてナナの大きな胸を必死に見ていた。
ナナはどうやらその自慢のお胸で色仕掛けを行い殿下を落としたらしい。もちろん二人の関係は知っていた。だって既に予言していたもの。
しかし、この予言も大きなイベントしか予言できないのが難点だった。
例えば、婚約破棄されること、ナナのお腹に赤ちゃんがいること、この国が滅亡すること、それを防ぐには私が必要なこと。
っとまぁこんな感じなのだ。だから念のためにちゃんと殿下の意思を確認したわけなのだけどこれなら仕方ないわね。やはりこの国の滅亡は免れないようだ。ならば自分の身を自分で守るしかない。
「わかりました。でしたら私と両親だけで構いません。今から国外追放していただけませんか?」
「はっ? 君はなにを言い出すんだ」
驚いている殿下の腕に胸を押し当ててナナが言った。
「きっと隣国に殿方との出会いがあるのですよ。行かせてあげて?」
「いや……ナナが言うなら考えてやっても……」
可愛く上目遣いでお願いするナナだったが、こんな見え透いた小細工なんかさすがに通用するわけないって思ったのだけど……
まんざらでもない様子で、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべる殿下。
まさにもう鳥肌が出るレベルで気持ち悪い。
しかし、ナナのひと言で、城全体にいきなりどよめきが走ったのだった。
「殿下これは決定ですわ。だって、お姉様は予言者ですもの」
「まさか……」
「嘘だろ?」
「殿下! 婚約破棄は駄目です」
貴族たちがたちまち大声で抗議の声を上げる。本来なら「静粛にっ」と怒鳴る陛下ですら驚きを隠せないのか何か悩んでいるようだった。
私は……正直こんなおバカな妹が残念でならない。
私が予言できることはドイナラ家の秘密なのだ。
バレたら悪いようにも利用されると考えた先代の知恵なのだ。
両親もずっとナナにはこのことがバレないようにしていた。ただ、婚約破棄される予言話を両親にしていたところをあいにく聞かれてしまったようだ。こういうところを予言できないのが辛い。
「ドイナラ、なぜ申し出なかった」
考えがまとまったのか陛下が椅子から立ち上がり激昂してらっしゃる。
これはどういう風にこの場を収めたらいのか。私は目をつぶり予言してみることにした。すると、脳内で映像が映しだされた。
ーーー陛下は興奮しすぎて倒れてそのまま……
「えっ、お医者様を!」
私の声に反応するかのように父が謁見の間から飛び出した。
「何事だ! 私の質問にこたえ……」
陛下が倒れられてしまった。妃様が冷静におっしゃった。
「陛下は大丈夫なの?」
私は答えに困ってしまう。父が連れてきたお医者様たちがそのまま陛下を運んで診察することとなった。するとその様子を見ていたナナが自慢げに言った。
「予言は絶対ですよ。もしかしたらお姉様がそのように仕向けているのかもしれません」
私は呆れ返るしかない。
あなたは予言の何を知っているというのかしら。
わが妹ながら本当に勘弁してほしい。
父は慌てて弁明を始める。
「マリンはそのようなことを考える子ではありません」
父の言葉に何やら考え込む妃様だったが、その妃様に対してナナは煽るかのように進言しはじめる。
「お父様は嘘をついているわ。だってこの婚約破棄もお姉様が昨夜、話さなかったら起きなかったかもしれませんもの」
いったいどの口がそんなことを言うのだろうか。マジであの子はバカすぎる。これだからドイナラ家の恥だと言われるのだろう。そもそも予言の意味をわかっていないんじゃないの? あーイライラするわね。
2度目のため息が出てしまう。さて、どうするかと予言するために目を瞑った途端、ナナが叫んだ。
「予言するわよ。今度は妃様を狙うのかもしれません」
「騎士たちよ、とりあえずこの娘を捉えよ。尋問せねばならない」
訳のわからないことを言い出したナナのせいで私は拘束されてしまったのだった。貴族たちは慌てふためいていた。
「予言者様を罪人扱いするなんて……これは我が国の破滅を意味します。エリーゼ様どうかお考え直して下さい」
「貴殿の言いたいことはわかっておる。だが陛下のご無事を確認するまで……」
医師たちがノックもせずに慌ただしい様子でやってくる。
「陛下が……」
「ボスマンがどうしたのよ!」
「お亡くなりに……」
「どうしてよ。さっきまであんなに元気だったじゃない!! あの娘のせいよ。そうだわ、今すぐ首を斬りなさい」
エリーゼ様の命令に貴族たち一同は思わず固まってしまう。
「だから……エリーゼ様お考え直し……」
「お前らは陛下の死をそのようにぞんざいに扱うのか?」
「いえ……そうではなく予言者様とは……つまり……」
「うるさい!! 騎士団長アルバートよ、何しているの、早く!」
「はい……」
エリーゼ様の命令を受け、肩を落としながらも騎士団の団長アルバートが地下牢へと向かったのだった。
ナナはその一部始終を嬉しそうに見て笑っていた。
わが妹ながら本当に勘弁してほしい。父は慌てて弁明を始める。
「マリンはそのようなことを考える子ではありません」
父の言葉に何やら考え込む妃様だったが、その妃様に対してナナは煽るかのように進言しはじめる。
「お父様は嘘をついているわ。だってこの婚約破棄もお姉様が昨夜、話さなかったら起きなかったかもしれませんもの」
いったいどの口がそんなことを言うのだろうか。マジであの子はバカすぎる。これだからドイナラ家の恥だと言われるのだろう。そもそも予言の意味をわかっていないんじゃないの? あーイライラするわね。
2度目のため息が出てしまう。さて、どうするかと予言するために目を瞑った途端、ナナが叫んだ。
「早くやめさせないとこのままではこの城を破壊させられるわ」
「騎士たちよ、とりあえずこの娘を捉えよ。尋問せねばならない」
訳のわからないことを言い出したナナのせいで私は拘束されてしまったのだった。
貴族たちは慌てふためいていた。
「予言者様を罪人扱いするなんて……これは我が国の破滅を意味します。エリーゼ様どうかお考え直して下さい」
「貴殿の言いたいことはわかっておる。だが陛下のご無事を確認するまで……」
医師たちがノックもせずに慌ただしい様子でやってくる。
「陛下が……」
「ボスマンがどうしたのよ!」
「お亡くなりに……」
「どうしてよ。さっきまであんなに元気だったじゃない!! あの娘のせいよ。そうだわ、今すぐ首を斬りなさい」
エリーゼ様の命令に貴族たち一同は思わず固まってしまう。
「だから……エリーゼ様お考え直し……」
「お前らは陛下の死をそのようにぞんざいに扱うのか?」
「いえ……そうではなく予言者様とは……つまり……」
「うるさい!! 騎士団長アルバートよ、何しているの、早く!」
「はい……」
エリーゼ様の命令を受け、肩を落としながらも騎士団の団長アルバートが地下牢へと向かったのだった。
ナナはその一部始終を嬉しそうに見て笑っていた。
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