第7話 半信半疑でツリーに参加
『あれ?AYAは?いないのかな』
ツリ主の片割れの本人が一向に書き連ねて来ない為、タイムラインから外れてしまったのでは、と思ったらしい。
居ます。ここで皆さんのリプ読んでます。と書き込みたいが、何故かフェイクに巻き込まれてしまって、騙されたようで入って行けない綾人だった。
違うよな。絶対この人たち、俺を引っ掛けようとしてるんだよな?
悲しい
しばらくすると、彼らは、マンデラエフェクトに気付いた時の自分たちの経緯を語り始めた。AYAとかりんも、本人自身は気付いていないらしいが、絶対マンデラーだ、と決めつけている。
心臓の位置が違う。体の構造が違う。
世界地図も日本地図も微妙なんてもんじゃないレベルで違ってる。
歴史が違う。
漢字表記がおかしい。奇妙な字が沢山出てきて気味悪い。
亡くなったはずの有名人が生きている。若しくは二回亡くなった。
芸能人の名前が覚えている字と違う。政治家も違う。
彼らは、それに気付いて色々調べ出したようだった。
綾人は、自分のことを騙すのに、彼らは一体どこまでが真実でどこまでがフェイクな会話をしているのだろうかとやきもきして来るのだった。
確かめたい。
かりんの正体も知りたい。
そんな衝動に駆られた。
気が付くと、彼らの会話に口を挟んでいた。
『ここのAYAは、全くかりんを知らないんだな?ってことで桶?(OK)』
『自分はさっき知りました』
『AYAはマンデラの体験談とかないの?』
『うーん……ネットで調べたけど、ピンと来ないかな』
『今、正に体験中じゃん?』
『え?それ、マンデラって言う?』
『言わない?AYAが世界線跳んだか分岐したよね』
『分岐……?』
『オリジナルが増えるってこと。全て自分なんだけどね。その瞬間瞬間で自分がある選択をしたらさあ、異なる選択した自分がまた増えるんだってよ』
『朝ご飯にパンを食べるかご飯にするか、ご飯なら味噌汁の具は何にするか、って感じで微妙に違うでしょう?もし、凄い決断を迫られて、悩んだ末に吹っ切れて決心したりすると、悩んだ数だけ増えるって聞いたことある。怖、ってなったもんね』
『決心……。自分、思い当たる節がある……かも』
『そういうところで分岐するじゃん?普通はその選んだ世界線へ移行すれば、元の世界線の人とは関わることは皆無なはずなんだけど……パラレルワールドを行き来しているみたいなんだよね。マンデラエフェクトを認知しているマンデラーは。だから、色々なところで違う自分の目撃情報が集まって来るのだよねー……最初は口裏を合わせて嵌められたかと思ったぞ!』
『へぇ、あたしはそんな懐疑心は生まれなかったなぁ。なんかさあ、ネットで繋がってても、マジみんな同じ世界線にいないでしょ?お店の看板やロゴ違うじゃない?というよりは、あたしの地区のファミレスの看板が日替わり定食みたいにほぼ毎日変わってた時は眩暈ぐるぐるしたよ……』
『あー、それは毎日世界線跳んでるね。眩暈はよくあるある』
『うん。あるある。僕はお腹の調子も悪くなる。食事内容関係ないから、もしかしたらと思ってる』
『俺は食欲無くすな。食べ物の好みが世界線毎に違ってるから、参るよ』
『あるあるある!味覚が変わるね!私家族から妊娠疑惑かけられたもん』
『ウケる!妊娠疑惑!学生結婚?』
『まだ高二ですから。私は無実ですわ』
綾人は、だんだん半信半疑で彼らの話を読んで、もしかしたら、違う自分が本当に存在するのでは?と思うようになっていた。
『え、じゃあ、違う自分を皆さんに目撃された、ってこと?』
『目撃どころか絡んでたよ。僕はAYAと。かりんとは直接絡んでないけど、タイムラインに載って来るからね。大体の流れは覚えてる』
『俺は二人のフォロワーが被ってたから、よくタイムラインに流れてたのROMってた。二人の会話とフォロワーのやり取りが。最近はないなあ、って感じていたらさ……AYAが違うAYAだった!のは衝撃!』
綾人は、疑いの芽を摘んで、彼らに言葉を投げた。
『あの、かりん、て、どんな子?ずいぶん前から、えっと、その、違う自分?のフォロワーだったのかな……?』
違う自分、というワードがなんだかくすぐったいような恥ずかしいような、なんだか他人で自分で、などと、どう受け止めてよいのか分からない。
正直言って、半信半疑のままである。
『あれ?かりんは最近じゃない?』
『多分、受験生垢とか言ってたから、この春からだと思うな』
『かりんはいい子だったよ~』
『おいおい、だった、は止せよ』
『ちょっと……また戻って来るかもじゃん?よくあるある。マンデラーの失踪&再登場!』
『あ、俺も一時期離れたな』
『そうだよ~みんなで「消えた?跳んだ?」って騒いだんだからね!』
『かたじけない』
『かりんはさあ、わりとしっかりしてる子だよね。あたしにはそう見える』
『そうだね。それでいて、抜けてるとこあるよね』
『あるある!人のこと云えないけど』
『確か弟さんがいたはず。お姉ちゃんしてるな、って思ったもん』
『あらぁ?妹じゃなかった?二歳違いの』
『えー?確か:四歳下で弟だと思ったけどな』
『多分、違う世界線の彼女と絡んだんだね。どっちもかりんだよ』
『え……どっちも?』
『そうだね。僕らがこうやって、違うAYAと話しているみたいに、違うかりんと会話したんだよ』
綾人は、信じられないが、もし、これが真実ならば……?もし、もしかしたら?と、心が揺らぐのであった。
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