第27話 心配2

「ご、ごめん。アリーの洋服を濡らして」

「こんなの、すぐに乾くから気にしなくても平気よ」

 そんなアリーを見て…また俺の頭を撫で始めた。


「少しは落ちつきました?」

「え?あ、うん…」

 自分の感情をアリーにぶつけてしまった事に恥ずかしく、真っ赤になり顔を背けてしまった。

「ご、ごめん…」

「ランでも取り乱すことがあるんだね…」

 大発見したみたいな表情で俺の事を見た。

「俺の事、何だと思ってるの?」

 俺が普通じゃないと言われてるようで、ふて腐れた。

「ごめん、ごめん…そう言うことじゃなくて、ランはなんでも1人で抱えるから…。そう言う感情を出してくれた事が嬉しくて…」

 最後の方は小さすぎて聞こえなかったが、アリーが俺の事を心配してくれるのが分かった。

 

 そんな事を言われ、俺はアリーの顔を見れなくて顔を背けてしまった。

「なんでいきなりそんな事を言うの?」

「いきなりでもないよ…。だって…いつも我慢してる様に見えるから…」

「そうなの!?」

 他人から見たら、我慢してる様に見えるって…

「別に我慢してないよ…。いつもこんな感じだし…」

「それが…って…そっか、ランは今までの生活が当たり前だったから…」

 貴族だった俺の状況を思い出したのか

「ご、ごめん…」

「別に、気にしてないから…」

 それから微妙な空気になり、どれくらいの時間そうしてただろうか…


 ぐぅぅ…と、俺のお腹の音が鳴ってしまい…恥ずかしく外を見上げたら、夕日が落ちてきてた。

「あ、ごめん…もうそろそろ夕ごはんの時間だね」

「そうだね…」

 俺とアリーはお互い顔を見合せ、食事を食べに外に出た。

「あれから考えたんだけど…やっぱり俺はアリーといろんな場所を見てみるつもりだ」

「そうだね、ジル様がランに内緒で色々準備してくれてたんだし、その気持ちを無下にしちゃダメだよ…」

 アリーからそんな事を言われ、返事が出来ずにただ、ただ頷いた。


 朝になって空を見上げたら、雲1つない青空で次の町までゆっくり歩けそうな感じだった。








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