不幸な少女3


「あの黒い服着て、顔が葉っぱだったヤツだべな。あれが城の兵士なんだべか。変な兵士だべな。その上、女の子相手に遠慮なく襲いかかって来るなんて、ひどいヤツらだべさ」

「植物マテリアル族も多い土地だからねぇ〜。多分、従属植物種じゃないかなぁ〜。自分の意志を持たなくて、主人の命令に絶対服従の植物だよ〜。ボク、聞いたことある〜」

 そう口を挟むのはガイだ。こういう時の雑学は何気に詳しい。

「それで、リタさん、その助けたい仲間って、無事だったんですか? まだお城にいるの?」 ヨウサが心配そうに尋ねると、リタは苦しげな表情でうつむいた。帽子を押さえる手が震えている。

「無事……といえば無事だけど……」

 言いながら、少女は悲しげに口を閉じてしまう。はっきりしない物言いに、シンがじれったくなって横槍を入れる。

「なんだべ、本当に無事なんだべか? もしヤバイって言うなら、言ってみるだ。オラ達、力になれるかもしれねーだべよ?」

 シンの一声に押されて、黒髪の少女、リタは顔を上げて苦しげに言った。

「実は……あの白い紳士……あの人……私にとって大切な人なんです」

 衝撃の一言だった。少女の発言に、思わず四人は目を丸くした。

「大切な人? 敵なのにだべか?」

 思わずシンが問いかけると、黒髪の少女は苦しげに頷いた。

「本当は敵じゃないの……。それどころか、あのお城の人でもなくて……。本当は……あの人こそ、私と一緒に旅をしていた大切な仲間の人なんです……」

「ええええ〜〜〜!!??」

 その発言に、四人全員の声がかぶった。

「どどどどーゆーことだべ!? 仲間が敵になっているんだべか!?」

「て、いうか、仲間なのに、リタさんを攻撃してくるって、どういうこと!?」

 双子が思わず頭を抱えて質問すると、黒髪の少女はますます苦しげな表情でうつむいた。

「私にも……よくわからないんです。私、ずっとあの人……クーフさんに助けられてきたのに……ずっと一緒に旅をしてきたのに……逆に……攻撃してくるなんて……」

 言いながら、顔を両手で覆ってしまった少女に、思わずヨウサは肩に手をかける。しかし、彼女の置かれている状況には、さすがにかける言葉も思いつかない。

「リタさん……」

 そんなヨウサの隣では、シンジがあごを押さえて唸っている。

「うーん……ホント、意味がわからないよ。だって仲間なんでしょ? それがどうして、仲間を攻撃するんだろ……?」

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