見える

今はもう昔のことですが、

あるところに関所がありました。

そこには台座があって、その上には、あるものが置かれていました。

人々がどんな風にそれを見るのか試す為にありました。


背の低い男が通りました。

それはそれは背が低いです。

そして台座のすぐそばを通りました。

男は、

「上になにかあるんだろうけど、オイラには見えないな」

と言って、見えないと報告しました。


背の高い男が通りました。

とてもとても背が高いです。

男は台座の上にあるものを覗きこむようにして見ました。

「これは......円だな。うん。誰がどう見たって円だ」

円が見えたと報告しました。


台座と同じくらいの男が通りました。

もうほとんど同じくらいで、台座とぴったり重なりそう

です。

「なんだ?これ。俺には四角形に見えるな。ま、四角形でいいか」

四角形と報告しました。


全ての人が去った後。

台座の上には、

円柱が乗っていました。

もちろん、これはフィクションです。

ですが十分ありえる話です。

あなたとは別の意見を持っている人でも、同じものを見ているのかもしれませんよ。

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