遅刻
寝坊してしまった。
ちゃんと目覚まし時計もつけていたのに。
早く学校にいかなければならない私は、ご飯を座って食べる時間ももどかしく、
パンを咥えて学校へと向かった。
もしそれで足りなければ、追加でなにかしら買えば良いか。
そこの角を曲がれば、もう学校だ。私はギリギリまで速く行こうと角をインコースで回った。
角から飛び出してきた、食パンを咥えた女子高生とぶつかってしまった。
もしこれがアニメの世界なら、恋が始まっているところだ。
そこまで考え終わると、食パンが宙を舞っているのが目に入った。
次の瞬間にそれは落ちた。
地面に。
ボトリと。
とりあえず、転んでしまっている女の子に対して、僕は手を差し伸べる。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですか?」
はぁ?なんなんだ?こいつ。
折角の朝食を落とされた私はぶちギレていた。
もちろん、パンを落とされた事にではない。男の態度が、あからさまに、落としにきているのだ。
「はぁ?お前なんなん?折角の!私の!大切な!朝ごはんが!パーになったんですけど!あと転んだせいで全身痛いんですけど!......お金、もちろんだしてもらえますよね?」
男はブルブルと震えたあと、コクコクと頷き、恐る恐る、財布を取り出した。
ちらりと覗き見ると、全然入っていなかった。まぁ、こんな時間にプラプラしてられる人だもんな。
そして私はもらった二千円を手に、学校へと向かった。
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