再び愛を誓うまで
緋ノ糸
プロローグ(2021.12.17 変更あり)
「
二つの重なる
誓約の証を身に付けると差し出された少年の手に少女の手が添えられた。
二人が初めて手を繋いだのはわずか生後ひと月の頃だ。伯爵同士の父親が元々親友であり更に家は隣合っており、家族同士の交流が頻繁に行われていた。両家の夫人が同時期に
「ふふっ」
式が終わるとフェイブルは我慢できないとばかりに口を抑え笑い声をもらした。
「フェイ?どうした?何か
「ち、違うの。だってあまりにクロウが真剣な顔してるんだもの……ごめん我慢できない」
と今度は両手を口に笑い始める。
「愛を誓うんだから当たり前だろ」
「だけど、プロポーズの時は違うじゃない?」
まだ笑いを収めれないフェイブルにクロウゼスが
「でも、そうね。クロウは三歳の頃から毎年誕生日にプロポーズしてくれたから。言われる前から嬉しくなっちゃって笑っていた私のせいでもあるわね」
「フェイが笑顔だからつい笑顔になっちゃうけど、俺はいつだって真剣にプロポーズしてるよ」
「わかってるわ。ありがとうクロウ。でも、これからはきっと真面目な顔で二人でいる機会が増えるわね」
「次はデビュタントのエスコートかな?……自信はないけど頑張るよ」
「私もないわ…きゃあ!!!」
そう言って瞳を見つめあい笑いあった時、晴れた空を切り裂くように
すぐさまクロウゼスはフェイブルを抱き寄せた。
「大丈夫フェイ?」
「ええ、急だったから驚いただけよ」
クロウゼスの腕の中でそう答えたフェイブルは見知らぬ姿をしていた。
赤くうねる髪に赤い瞳をしていて、
勢いよく
クロウゼスは頭を強く降り一瞬の悪夢を振り払った。そして再度フェイブルを腕に囲いながら、最愛の人を不安にさせ自身に悪夢を見せた
「あ、晴れてきたわ。通り雨だったみたいね。ほら、見てクロウ!虹だわ!」
「本当だ綺麗な虹だね」
これからの二人の
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