第19話⁂鈴子の母!⁂
ある日リンダが、街を歩いていると、なんと雅彦の姿を目撃した。
{ひょっとして私の居場所を探しているのでは?}と不安になり跡を付けた。
すると人通りの少ない路地裏の場末の歓楽街に吸い込まれるように入って行った。
{まあ~男だから仕方ないが?あのプライドの高い雅彦が何でこんな場末の、それもゲイバーに?}
そう思いリンダも入口まで入って行った。
すると・・・
奥の方に天白区の雅彦の友達らしき人物を発見。
{夫、雅彦の小中学校が一緒の確か……?ヤマ……ヤマザキとか言った友達が家に遊びに来た事が有った。そして確か~?夫婦喧嘩が絶えないと聞いた事が有った………あああ!夫婦喧嘩の原因は、ゲイバーに入り浸りの、ゲイだという事が分かってしまったからかもしれない?あの不気味な、いかにもゲイ風の厚化粧……そうだ!天白区に居た時、確か?一~二度家に連れて来た赤ちゃんは麗奈ちゃんだったのだ………そう言えば麗奈ママも一度山崎と連れ立って来た事が有った。内海に移って来て、麗奈ママとは父兄会で何度かあった事が有ったが、女の子という事も有り親しくはしていないが、章の小学校の同級生だ……奇遇な事に、こんな内海くんだりで又会うとは思わなかったが、『姓が変わったので離婚したのだな~?』そう思ったものだ。それでも……それでも…一体こんな所で何をしているのだろう?」
一方の雅彦達は、ゲイバーの片隅で何か神妙な面持ちで話し合っている。
「お前が、こんな趣味が有るとは知らなかったよ?」
「お恥ずかしい。俺はあちこちのゲイバー通いが止められなくて、等々離婚されてしまった。だが、娘麗奈の顔が見たくて会いに来た帰りには、この店に顏を出しているんだよ」
「そうだったんだ?所で俺の息子章と麗奈ちゃんが、同じ小学校だとはビックリだな。そこで二人の住んでいるマンションは、知っているのかい?」
「それが~?男の子と女の子だから知らないらしいんだ。元妻に名簿から調べて貰ったが、大家さんの住所に行き付いたらしいんだ。だから~?チョット分からないな~?」
「それでも小学校は、わかるだろう?」
「ああ~!内海ℤ小学校だ!」
「そうか!ありがとう」
こうして雅彦は、父大蔵から頼まれていた息子章の現在の現状を、調べ回っていたのだ。
ある日の平日、門の陰に隠れて章を待ち伏せして、出て来たところ跡を付けた。
{ああ!こんな分かりにくいマンションだったのか?}
こうして祖父大蔵と父雅彦に居場所を知られてしまった、章と嫁のリンダなのである。
一体誰がリンダを付け回しているのか?
大蔵の追手のものなのか?
それとも………雅彦の追手の誰かなのか?
それとも横井の………?
◇◇◇◇◇◇◇◇
章の母リンダは、大のデパ-ト好き。
実は章の嫁鈴子は、デパートの契約社員として売り子をしていた時に、章に見初められたのだが、鈴子の母彩もまたデパートガールだったのだ。
あの当時、デパートのエレベーターガールと言えば女性の憧れの花形職業で、かなりの倍率を乗り越えた生え抜きの美女たちばかり。
鈴子の母彩は評判の美人で、ミス埼玉にも輝いた選りすぐりの美人。
そのお陰で最大手百貨店✰三光のエレベーターガールとして採用されたのだ。
一九六〇年代の日本経済は,長く続いた鎖国時代を経て、新しい時代の幕開け明治時代、その明治維新以来,諸外国にも類をみないほど,急速な経済成長を遂げた。
けれど一九七〇年代は、オイルショック前からニクソン・ショックによる円高不況で不況カルテルが頻発した。
そんな一九七〇年代後半、若干二十二歳の美しい母彩には、降るほどの縁談話が舞い込み、リゾート開発を手掛ける富豪の御曹司に見初められ良縁を掴んだのだ。
良縁を掴んだ彩だったのだが………バブル崩壊後に負債を抱えて倒産。
◇◇◇◇◇◇◇◇
実はリンダは『ホテルパシフィックOCEAN・湘南』時代に鈴子の母彩と、お客様とエレベーターガールの関係で深い繋がりが有ったのだ。
時代は一九七〇年代中盤の事である。
リンダは丁度その時二〇歳、リンダは時間が空くと、お友達と東京の本店✰三光百貨店に足蹴く通っていたのだ。
その時に彩と知り合いになって居たのであるが、まさか彩の娘鈴子と我が息子章が結婚するなど誰が想像できたであろう………?
色んな謎が暴かれる時が?
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