第10話⁂知ってしまった雅彦!⁂
強引にディ―プキスに及んだあの日は、大蔵の仕事の都合で午後三時に『ホテルパシフィックOCEAN・湘南』裏門前に車を乗り付けてもらい出掛けた。
ホテル側も経営の悪化を食い止める為に、リンダを営業を兼ねてホテル会員様や上客様に、案内事やサービスプランなどの営業で出掛けて貰っている。
ホテル会員で上客の大蔵と、もう一人運転手が居るので何の心配もない。
それでも…あの日は、たまたま大蔵と二人きり、もう馴れ合いになった優しいおじさん。
まさかあんな事が起ころう等とは努々思っても見なかった事。
海辺のお洒落なテラスでお茶をした後、愛車ポルシェで富士山と江の島を見渡せる湘南海岸をドライブ中なのに、急に人通りの少ない所に車を停めて、いきなりシートを倒し、強引なディ―プキスに及んだの。
余りにも咄嗟の事で、呆気にとられるのと同時にビックリしたリンダは、只々ショックで、思い切り大蔵のほっぺを叩いて駆け出して行った。
大蔵が余りの勢いで襲って来たので、ブラウスのボタンは所々外れて、前面はブラウスとスカートがはだけ、何とも悲惨な姿のリンダなのだが、恥ずかしさも忘れて{大蔵から一刻も早く遠くに逃げたい!}
只々驚きとショックで富士山と江ノ島が映える夕日スポット♪
今まさに美しいオーシャンビュ―に染まる、オレンジ色の湘南海岸を只々泣きながら駆け抜けるリンダ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
あの一件以来リンダは、すっかり佐々木家に対する不信感で、雅彦との付き合いにも暗雲が立ち込めている。
今までは、リンダとの連絡方法は。もっぱらリンダのマンションに電話を掛けての連絡手段だったのだが、最近は雅彦が電話を掛けても居留守ばかり。
何故?リンダのマンションに電話を掛けての連絡手段だったのか?と言うと、大蔵の熱い視線をそれとなく感じていたリンダの、困った事が起こらない為の防御策。
だが………自分の親よりも年上の大蔵が、まさかこの様な雄の本能剝き出しになるなど、想像も付かなかったリンダなのだ。
こんな華やかな世界に生きるリンダだが、実力一本で生きて来たリンダは、まだこのような辱めを受けた事が、一度たりとも無かったのだ。
心配になった雅彦は、大学三年生の二十一歳で公認会計士国家試験に合格して、大学四年生二十二歳の現在は、大学生活と実務補修所通いの傍ら、時間を作り湘南まで愛するリンダに会いに行った。
リンダのマンション〔江ノ島ハイツz〕の前に着いた雅彦はベルを鳴らした。
すると暫くするとリンダが出て来て、何か意味ありげな表情を浮かべながらも中に通してくれた。
お部屋の中は、リンダらしい可愛いピンクで統一され、ピンクのレースカ-テンやイチゴの貯金箱、更にはあの当時流行ったシックなチャイナ服が目に飛び込んで来た。
そして居ても立っても居られない雅彦は部屋に入るや否や
「…どうして電話に出てくれないんだ?」
お茶を運んで来たリンダは「…もう雅彦とは付き合えない」
「エエエエエエ―――ッ!一体どうして?」
「…ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭………実は私……お義父さんからウウウ(´;ω;`)ウゥゥ」
「ナニ?ナニ?ナニ?………分からないだろう?」
「ウウウ(´;ω;`)ウゥゥ実は………?……お義父さんが、私を強引に犯したの!
ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「………」
余りの事に混乱する雅彦。
泣き崩れるリンダ。
どれだけ経っただろうか?
「……ソッそんな事?………あのオヤジが?」
思い詰めた雅彦は、考えた挙句。
「…俺が大学卒業して、その後、あと一年実務補習期間が終了したら結婚しよう。リンダがまたこんな目に遭ったら嫌だから、一緒に生活しよう。お金は親が俺の為に貯金していた金が有るから、当面はそれで何とかなる……リンダ仕事は辞めてクレ!そして名古屋で一緒に生活しよう………暫くは貧乏なアパート暮らしだが、あんな酷い父の顔も見たくない!親には居場所も知らせないつもりだ………あんな卑劣な父の顔なんか二度と見たくない!」
「…そんな事言ったって私だって契約期間が有るから………あああ!じゃ~!またお義父さんが会いに来たら困るから、私もあと二年間違う『ホテルパシフィックOCEAN』に移動させて貰うように頼んでみるわね?」
こうして二年後に雅彦は、実務補習期間終了と共に、二十四歳で家族に理由を告げて家を出て二十五歳でリンダと極秘に結婚したのだ。
一方の大蔵はリンダを愛し過ぎるあまりに、強引にあんなマネをしてしまった事への申し訳なさ、又それ以上にあの美しいリンダの唇の感触と息遣いに、どんな事をしても、もう一度逢いたい。
そしてもう一度触れてみたい。
でも何故、急に居場所が分からなくなってしまったのか?
あんな事をしておきながらも、まだ心のどこかに{きっと又あの優しい笑顔で迎えてくれるに違いない!}そんな都合のいい考えを膨らますのだった。
年甲斐もなく、完全に恋に狂ってしまった大蔵は、まさか自分の命より大切な息子雅彦と、この命の全てを捧げても惜しくないリンダの二人が、籍まで入れていようとは想像も付かない事。
それは雅彦が「跡継ぎとして、会社〔佐々木不動産〕の公認会計士として自立出来るまでは、ちゃんとした公認会計事務所で勉強したい。居場所は修行の為だから教えられない!一人前になったら戻って来る」そう言って家を出たからだ。
雅彦にして見れば、暴れまくり、罵って親子の縁を切りたかったが、そんな事をしたら、リンダとの関係も結婚の事実も分かり、又何を仕出かすか分からないので、腹の中は煮えくり返っていたが、リンダの為に抑えたのだ。
恋に狂った父大蔵は、リンダを探し回るが、
その果てには………。
とんでもない事件が………?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます