第67話大爆発
斬新なデザインの服は、あっと言う間にダークレイの富裕層の女性に広まり、店を賑わしている。
それで手狭になった為、新しい洋服店を購入の為カミヤとシンナは商業ギルドに出かけている。
「新しい警護と店番が必要になりますね」
「それはラルトに任せるよ」
表には《新しい洋服店準備の為、服は販売中止》の紙がはられ、客の入りも普通に戻っている。
「それじゃ後は頼むぞ」
そう言って出かける。
夕暮れ前のこの時間帯に、開かれる夕暮れ市場。
孤児院から紹介された、12歳から14歳の男3人女2人が出展準備を終わりかけている。
リヤカーに積まれた、スイカや野菜などの荷物を15歳のタンヤがうしろから押し、俺が引張ってようやくたどり着いた。
「さあ、野菜を並べるぞー」
俺が持って来た野菜は、やはり異世界の野菜と違う形と色合いの為、売るには問題があった。
その為、今回は試食をここで行なおうと思っている。
スイカが切られ、野菜は千切り器に盛られドレッシングが掛けられてゆく。
「どうですか新しく入った野菜です。料金は要りませんので味見して下さい」
男女が声を荒げて呼び込みを掛けている。
味が良いのは保証付きで、食べれば病み付きになること間違いない。
興味を持ったおばさんが、サラダを食べて驚き、更に食べだした。
釣られる様に、食べる人が増えている。
この野菜は薬草程でないが、魔法で栽培された野菜の為、若干HPとMPが回復する。
我が家で栽培した野菜も、従魔は飽きたみたいで余り食べなくなり。
俺1人では消費しきれなくなり、異世界に持って来た。
連続での販売はやらないが、孤児院の子らにアルバイトで雇い不定期的に売ろうと思っている。
30分で試食が完了。
食べた感想も悪くなく、ドレッシングも好評であった。
食べた客から今度いつ販売するかと聞かれ、不定期ですと答えるしかなかったが、手応えは充分である。
帰りぎわにアルバイト代とスイカ1個を渡すと、喜んで帰って行く姿は楽しげであった。
・ ・ ・ ・ ・ ・
「それでロシアはどうなった」
「こっちの出方を伺ってます」
「どれだけいい条件が取れるか企んでいるのだろう。いけ好かない奴らだ」
「一部の学者の見解なのですが、ゲートに粒子放射線のα線(ヘリウム原子)を少量を照射した所、1センチ拡大したそうです」
「そうか、糸口が見つかる可能性がでたか?もっと研究を進めろ!」
「かしこまりました」
「それで覚醒者は順調に増えているのか?」
「はい、賛同する国からも応募者が多数現れています。しかし、魔物の少なくなった此処では増やす数にも限界が出ています」
「やはり中国で増やすしかないのか?」
「イングランドとインドは無理でした、刺激して取り返しのつかない状況には成りたく無いみたいです」
「わしもそう思うから、諦めるしか無いみたいだな」
「日本政府が中国を見限ったみたいです」
「せっかく協力してくれた国に、あだなす行為をすればそうなるだろう」
「今回の件を中国で行なう場合は、日本人は使えないと考えておき給え」
「そうでしょうか、ギルド長なら協力してくれるかも知れません」
コンコン「何だ、緊急時以外、連絡無用だぞー」
ドアが開かれ、驚愕な顔で話だした。
「中国の福建省で水爆並みの爆発が観測されました。ミサイルや飛行機での攻撃でない事は確認済みです」
「なら誰の仕業だ」
「ゲートから現れた魔物の仕業だと推測されます。レーダー観測と衛星観測で観測されてます」
「そんな魔物まで現れたのか?・・・恐るべし魔王だな」
・ ・ ・ ・ ・ ・
「テレビ局長、本当に流してもいいですね」
「ああ、いいとも」
「お前ら準備しろー、緊急速報だ。ビデオ編集はどれくらい掛かる」
「30分下さい」
「バカ野郎!20分だ早く行け。川島アナウンサーを呼び出し準備させろー」
「川島は出かけています」
「代わりのアナウンサーを連れて来い」
「分かりました」
・ ・ ・ ・ ・ ・
俺が我が家に戻ってのんびりしていると、ドロスがやってきた。
「はじめ、録画見るといい」
付けっぱなしのテレビの前まで行き、ソファーにゆっくりと座ると、ドロスがレコーダーのスイッチを入れる。
女性のアナウンサーが映し出され、真剣な面持ちで話し出した。
「中国の福建省で今日の13時22分に水爆並みの爆発が観測されました。これは水爆ではありません。放射能は観測されてませんので安心して下さい」
画面に衛星写真が映し出され、建物だった少ない残骸跡が画面一杯に広がり、悲惨な状況を伝えている。
アナウンサーが、水爆の関係学者と電話での対応が聞こえている。
「米地質調査所(USGS)によると、揺れの規模はマグニチュード6で、震源の深さは0キロとのことです」
ドロスはテレビで言葉や文字を勉強中で、最近テレビに夢中であった。
ドロスはドロスなりに、俺に見せないといけないだろうと思ったのか、行動に起こしてくれた。
いい判断で有り難い。
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