願望バトルロワイアル

@mirai0080

プロローグ 武器商人

「まいどありー、復讐がんばってー。」


「ええ、ありがとうございました。」


パン屋の袋を抱え、笑いながら店から出る淑女。


誰も思わないだろう、その袋には銃が入ってるなんて。


誰も思わないだろう、彼女が復讐に憑りつかれた鬼とは。


「はぁー…つっかれたぁ。何で政府はこんな状況なのに銃の所持を合法化しないのかねぇ…護身用として必須なのに。」


この世界は理不尽である。弱きものが搾取され、強き者が超える世界なのだから。


2x0x年、この国はクーデターによって新たなる政府が誕生した。その政府は絶対的な格差を生み出している。


そんな政府のトップがテレビで


『世界を平等に!”持つもの”の断絶を!』


歓声が鳴り響く。”持たぬ者”…一般人にとても支持されていることから崩壊はないだろう。


そして”持たぬもの”の金持ちが国を支援し、国が金持ちに有利な法律を打ち立ていく。


「世界を平等にねぇ…そんなきれいごとはやめて欲しいぜ。」


平等に、と口では言っているが、結局それで迫害されるのは俺たち”持つもの”じゃねぇか…


この世界では、極稀に生まれた子供が異能を持っている事がある。

彼らの事を世間一般では”持つもの”と呼ばれている。


基本的には歓迎されるのだが…この国では平等の下とか何とかで殺される。


あの女性は自分の子供が”持つもの”だったせいで旦那さんに我が子を殺されたらしい。


だから復讐をするらしいのだが…くだらないなぁ。


「まぁ…お客だからな、とやかく言ってらんないぜ。」


「ほっほっほ、大変そうですね。」


「ああ、やってらんねーぜっ!?」


じーさんが突然現れた…?いつの間に、店のドアにはベルを付けていたはず…!それなのに鳴らなかった!?鳴らなかったぞ!


とりあえず冷静に対応しよう。


「いらっしゃいませ、アベルトのパン屋にようこそ!何かを探しでしょうか?」


「ああ、”少しの金貨と大きな異常”が欲しくてね。」


ああ、なるほど。そっちの客か。


「っち、裏の客か、驚かせやがって。んで、何の銃が欲しいんだ?」


「いえいえ、銃ではなく、あなたに少々用がありまして。」


「一体何の用だ?手短に話せ。」


「では、単刀直入に行かせてもらいますと、バトルロワイアルに参加いたしませんか?」


「はぁ?」


突然の提案に思わず声が出る。


バトルロワイアルだとぉ…?なぜ俺が参加しないといけないんだ?


「ええ、その反応は妥当でしょう。なぜならこのバトルロワイアルは”持つもの”限定でございますから。」


「なるほど…優勝賞品は?」


「願いを何でも…それに副賞として100億スクエアを」


「何…!」


なんでもだとぉ!?しかも100億スクエア!?そんなにあれば…俺の夢が…アイツが…!


この時、フラッシュバックが起きた。


俺が幼いころの記憶…その頃の俺と一緒の年齢位の金髪の女の子が夕焼けをバックに手を引いている…


そしてその子が連れていかれて行く…。俺はその時何もできなかった。だが!願いが叶えられるなら!


「わかった、その話乗ろう。」


「ふふふ、ありがとうございます。現在武器は何をお持ちで?」


「あー、ちょっと待ってくれ。今は拳銃と少しの弾しかない。」


「承知しました、準備ができればお教えください。あと申し遅れました、私はクレイと申します。」


「俺はアベルト=クェーサーだ。では探してくる。」


さて、何をもっていこうか。


とりあえずAAー2-BとV=NOxガスと…あとグレネード、スモークグレに大量の弾とバックパックに回復を詰めてっと。


「はいよ、準備できたぜ。」


「承知しました、アルベルト様。では、ご案内いたしましょう、バトルロワイアルの”戦場”へ。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る