ロリTSっ娘でおねショタムーブ 2
「純白が欲しかったんです。オレの理解者は彼女しかいないと思ったから……」
う~~~ん群青くん大変正直でよろしい! ポッキーポイント五点です!
勇者兄弟から離れて数分後、群青はあっさりと公園で見つけた。
何やら怪しげなロリっ娘が彼を襲っていて、それを止めに入った感じだ。
追い払ったロリっ娘は確か──
『ま、またしてもボスの理想を邪魔しやがって……お前ホント許さんぞ、アポロ・キィ! もう組織の残党も私だけだし……ぐぅ、警視監の立場がまだあればどうにかなったのに……っ! しかし群青の魔王の力は半分貰ったからな! バーカバーカ!』
こんな事言いながらロリっ娘は涙目で逃げてった。
口ぶりからして女の子の中身は、あのラスボスだった警視監の男なんだろう。
怪我をした膝の部分が明らかに機械むき出しのロボットだったし、悪の組織がサイボーグというロボット兵士を使っていた事を考えると、恐らく警視監の男は自分の意識のバックアップをどこかに保存していて、それを余ってたサイボーグにブチ込んで復活を果たした──の、かな?
よく分かんねぇ。
とにかく言えることは『女の子に変身=ヒロイン化する』という事だけだ。
アイツきっといつの間にかレッカのヒロインにされるんだろうな。
ヒーローと悪の親玉っていうライバル的な関係性でキャラ立ちとしては申し分ないし、物語終盤で雑にハーレム入りする典型的な例だ。
何で体をロリ型のロボットにしたんだろう。アレしか無かったのかな。
どうせ悲しい過去語りした後のレッカによる撫でポで即堕ち間違いなしなのは確かだ。
かなり悪いことをしたヤツだし簡単には許してもらえないだろうが、おそらく投獄とか特別な処理を受けつつ、劇場版とか番外編とかで活躍の機会を与えてもらうタイプのキャラになると思われる。
結論、ロリっ娘化した警視監ちゃんは、多分レッカがメス堕ちさせて何とかするので無視でいい。Q.E.D。
はい終わり終わり。
俺の目的はポンコツラスボスじゃなくて名前も知らないショタの方だ。
「……オレを断罪してください」
まぁこんな感じのシリアスオーラで始まる事は分かっていた。
最初期の衣月と同じで出生から育ちまで何から何までシリアスの塊だからな。別段違和感はない。
そしてこういうのは真に受けちゃダメだ。
いちいちシリアス風味のオーラに構ってたら時間が足りない。
「オレが魔王の力を振るったのは……自分自身の意思です。力に吞まれるような感覚はあったけど、確実に自我は存在していた」
公園のベンチに座り込む群青くん。
そんな彼を俺とマユで両サイドから座って挟み込んでみた。
ふふふ、近い。
「っ……? え、えと……その、許されるとは思っていません。オレは貴方の命を奪うところだった。……たとえ殺されても文句は言えない」
「ふむふむ」
「見てコク、この子まつ毛が長いよ」
「将来はイケメンだな」
「……ぁ、あの……?」
群青と名付けられるだけのことはあって、彼の前髪は奇麗な海色のメッシュになっている。黒髪の中心にあるからなお目立つな。
顔立ちも年相応に幼くはあるがクッキリしているし、成長したら顔面暴力みたいなイケメンになる事だろう。
衣月といい彼といい、悪の組織というのは美少年や美少女をモルモットにするのが決まりだったりするのだろうか。どんだけ顔面偏差値を上げたいんだ。
「オレをどうするんですか。もう純白には手を出しませんし、どんな罰でも……受けるつもりです」
俺と同じく人としての罪悪感はそれなりに持っていたらしい。
それだけあれば十分だ。残りの部分の矯正はヒーロー部とかいう聖人集団に任せてしまえばいい。
俺の任務は彼を許すこと。
彼に自分がまだ子供なんだと自覚させること。
そして彼の本当の名前を周囲の人間たちに認識させることの三つだけだ。
色々あって俺を殺しかけたことに関しては、結果的にマユを生み出す要因を作ってくれたわけだし、ここは不問に処す事としようじゃないか。
「はい、よしよし」
「ふぇっ……ちょ、ちょっと?」
「ほら、マユも」
「ハーイよしよしヨーシヨシ」
「あ、あのぅ……!」
まずは衣月の時と同じく、しっかりと年上ムーブをかまして相手の心を絆していく。
今はマユもいるのでせっかくだからお姉さんハーレムでもお見舞いしてやろう。
小さい子供には温かい愛情──これが基本だ。
組織によって親の愛を受ける機会を奪われたとあらば、なおさらそれが大切になる。
衣月に対して兄のように振る舞ったように、今度はお姉ちゃんとしてこのショタっ子を導いてやるぜ。
ふふ、おねーちゃんに任せちゃってください!
「まずは名前を教えてくれるかな?」
「……群青、です」
そっちじゃなくて、本当の名前の方ね。
「きみ、純白の本当の名前、知ってる?」
「い、いえ……」
「あの子は衣月って言うの。藤宮衣月、ね」
「藤宮……いつき……」
「それと同じようにきみにも名前があるでしょ? ……お姉さんに、それを教えてほしいな」
「ぁっ、えと……」
そっと手を握り、め~ちゃくちゃ頑張って温和で優しめな声音で語り掛けていく。
すると少年は顔を赤くして俯いてしまった。初心だね。
アイコンタクトを取り、マユにも彼の手を握って肩を寄せさせてみようか。
「拙者も知りたいでござる。コポォ」
その変な語尾まだ継続中なの……?
まあいい、ともかく両耳攻めASMR音声みたいな感じで、彼の凝り固まった心をやんわりほぐして、わる~い気持ちを吐き出させてあげなければ。
「オレは……たい、ょぅ」
「「もう一回♡」」
「~っ!? たっ、太陽です! 藤宮太陽!」
なんと。
マユと同時に囁いてみたら予想外の返答が飛んできた。
藤宮は衣月と同じ苗字で、太陽って漢字は俺のアポロと全く一緒だ。
名前はともかく苗字に関してはただの偶然とは思えないし、なにかワケありなのは確定だな。
まぁ今は深く詮索する必要もあるまい。
とにかく現状は優しく穏やかにお姉ちゃんムーブを、だ。
「私はコク。特別にお姉ちゃんって呼んでもいいよ、太陽くん」
本当は男だけどそこら辺の説明は面倒なので割愛。
「ワテクシはマユ。こっちも特別にお姉ちゃん呼びを許すわよぜ」
お前は語尾がバグりすぎ。
「そ、そんな、おねっ……なんて……」
「いきなりは難しかったよね。夜も更けてそろそろ寒くなってくるし、とりあえずどこか休める所へ行こっか」
「わわっ。ちょ、まって……!」
完全に誘い文句が人攫いのそれだったが勢いで誤魔化す。
その後、俺は群青こと藤宮太陽くんが逃げないようマユと両サイドからがっちり腕を組みつつ、店員をうまく誤魔化して三人一緒にネカフェへ駆け込むのであった。
寒いからとりあえず温まろうね!
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