Episode11
「じゃあミリア、留守を頼むわね。」
「あ~、エレナさん。同行する気満々なところ申し訳ないんですけど、今すぐ出発するわけじゃありませんよ?」
「な、なんだって!?」
「とりあえず、食糧の買い出しだけは済ませておかないとお腹がすきますよ?」
「ウッ、確かに。かなりの距離を移動するとなれば、食事の用意は必須事項だろうな。」
「マジかよ…ギルマスが付いて来るのか……」
なんかバットが青い顔してるみたいだけど…僕には関係ないからスルーしよ♪
そうだ、今のうちにドラゴン肉の事聞いてみよう。
「ところで、皆さんに聞きたい事があるのですが……ドラゴンのお肉って美味しいのでしょうか?」
「「「「えっ!?」」」」
「えっ?」
なんか僕、変な事聞いたかな?
「タケル君?君は何を言っているのか理解しているのか?上位捕食者であるドラゴンを食べようなどと思う人間はこの世界では皆無だ。」
「『ドラゴンに出会ったら即逃げる』が基本だぜ。」
どうやら、『ドラゴン=美味しい肉』はラノベやWeb小説の中だけのようだ。
「じゃあ、もしドラゴンを倒せたとしたら僕はドラゴンのお肉を食べたいと思います。」
「「「ぷッ、アハハハ」」」
「………」
『神風』の三人は僕の『ドラゴン食べる』宣言は聞いて笑いだした。
エレナさんは、何かを考えている様子だ。
「アンタ馬鹿なの?未だかつてドラゴンを倒した人間はこの世界に誰もいないって言うのに、そのドラゴン食べるって…アハハ」
……レイナさん、ずいぶん楽しそうですね。
「…いや、案外タケル君なら出来るかもしれない。」
不意にエレナさんが、そう言葉を漏らす。
「オイオイ、ギルマス。それマジで言ってンのか?コイツは今日、登録したばかりなんだろ?そんなヤツがドラゴンを倒せると思うか?」
バットは呆れたようにエレナさんの言葉に返して言う。
「普通に考えれば、まず無理だろうな。…普通ならな。
バット、お前はデコピンの風圧だけで人を吹き飛ばす事が出来るか?」
「はぁ!?(゜ロ゜)デコピンで人が吹き飛ぶわけ
「ねぇ、ギルマス。そんな話、誰が信じるの?」
「そうだよ。そんなの誰も信じないって。」
エレナさんの話に、バット、レイナさん、ミラさんは口々に否定をする。
「そうだな。人は『目で見たことしか信じない』事が多いようだから、お前達が信じようとしないのは良く解る。だが、私の目の前でタケル君は、ジグを吹き飛ばした。」
「「「!?」」」
エレナさんの言葉に三人は驚き、僕の方に振り向く。
「まぁ、目の前に見たこともないような乗り物を出した時点で、『普通』とは言えないだろう。」
「「「確かに。」」」
「タケル君、一つだけ忠告しておこう。君の力は異常だ。その力を欲する人間は増える事はあっても減る事は無いだろう。現に『神風』は君を正式なメンバーに加入させようとしているみたいだからな。
君がこれからどうするかはわからないが、国や貴族と言った権力を持つ連中が君を取り込もうとするだろう。だから君はその力をなるべく隠すようにするべきだ。」
エレナさんは、僕の持つ力について真剣に考えてくれたみたいだな。
「そうですね。エレナさんが後ろ楯になっていただけたらありがたいですが、ダメですか?」
エレナさんに上目遣いでお願いしてみる。我ながら、けっこうあざといかな?と思う。
「~!?」
あれ?エレナさんが、赤い顔して目を逸らした。
「し、仕方ないな。た、タケル君にそうお願いされたら、こ、断わる事は出来そうにないな。」
「ありがとうございます。」
「ただし、一つだけ条件をつけるが構わないな?」
「後ろ楯になっていただけるのですから、仕方ない事だと思っています。」
なんだろ?エレナさんの目がギラギラし始めた気がする…対応を間違えたかもしれない。(^_^;)
「では、タケル君には私と一緒に住んでもらう。君の保護も兼ねているから当然の措置だ。(ホントは、タケル君と甘々な生活を送りたいだけなんだけどね♡)」
「えっ!?」
僕の背中に悪寒が走ったのは気のせいだろうか?
『マスター、エレナ様はマスターをロックオンしているようです。まさに、生け贄ですね♪』
AIさん、ずいぶんな言い方ですね(¬_¬)
「ど、どうだろうか?もちろん、タケル君が不自由な生活をすることがないよう
後ろ楯になってもらうつもりなので、仕方がないと言えばそうなのだろうが本当にこれで良かったのだろうか?
「なぁギルマス、そろそろ研究所に行く準備をしてぇんだけどいいか?」
「あぁ、そうだったな。では、急ぎ準備を整えて、出発しようではないか!!」
翌日
「うぉー、スゲー、速ぇー。」
うん、バット五月蝿い(#`皿´)
「タケル君、喉は渇いてないか?
うん、エレナさん、助手席で甲斐甲斐しく世話をしてくれるのはありがたいけど、今運転中だから正直邪魔です。
「はぁ、こんな快適な乗り物を知ってしまったら、もう今までの馬車には乗れないわね。」
「だよね~。」
レイナさんとミラさんは、ノート AUTECH CROSSOVERに乗ってご満悦の様子。喜んでもらえて何よりです。
しかし、助手席に乗っているエレナさんがシートベルトをしているのですが、正直目のやり場に困る(*_*)
何故、僕が運転してるか気になるだろう皆さんの為にお答えしよう。
僕は運転席に座ってはいるが本当は運転していない。
四人には、僕じゃないと動かせないと言っているので、この状況である。
『マスター、前方100メートル地点に敵性反応。オークと断定、数は10。迎撃しますか?』
車からAIさんの声が聞こえてきた事によって、四人が驚いた顔をしていた。
「AIさん、迎撃は僕がするから代行運転(名目上)をお願い。」
『イエス、マスター。ノート AUTECH CROSSOVERの運転を代行。』
それじゃ、『神風』の皆さんに僕の力ってヤツをお見せしようかね。
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