2、バレンタインデー・スキ?

第6話 芽美と天翔と天龍と

天龍ちゃんと天翔ちゃん。

彼女達は恐らく2つで1つの存在だと思っている。

思いながら.....俺は病院で一夜を過ごした後だが検査を受けたりして一応ではあるが病院から退院した。

それからそのまま家に帰って来る。

すると。


「.....!?」


何故か病院から迎えに来てくれた翔さんと天龍ちゃんと一緒に帰って来ると。

サプライズの様にリビングに芽美が居て俺を見てから震えてじわっと涙を浮かべた。

え?、と思いながら見ていると母さんが、心配していたのよ。芽美ちゃんも。だからきてくれたのよ、と言ってくる。

俺は母さんのその言葉を聞いていると芽美が抱き付いて来た。

それからそのまま泣き始める芽美。


「.....どうして無茶をするの.....和奈.....」


と言いながら、だ。

それから泣きながら嗚咽を漏らす。

いや。まあ無茶というか.....俺じゃ無いんだけどなこれ引き起こしたの。


だけど.....心配は掛けたのだ。

こうしないとおかしいだろう。

考えながら抱き締める。

するとピクッと天龍ちゃんと天翔ちゃんが反応した。


「お兄ちゃん」


「.....兄貴」


「.....な、何でしょう?」


イラッとした様な感じで天龍ちゃんと天翔ちゃんが言及してくる。

2人はジト目だった。

そして天龍ちゃんは笑顔でピクピク眉を動かしている。


天翔ちゃんはそれなりに眉を顰めている。

俺はその姿に、えっと、と思いながら困惑する。

青ざめながらであるが.....何だ。

特に何故.....天翔ちゃんがそんなに反応している。


「.....イチャイチャするのは別に良いけど.....。.....何だか.....うん」


「.....良く分かってるね。天翔。.....私も何だか嫌だねぇ」


「.....え?」


その言葉を受けていると。

芽美は俺に縋ったまま、ウフフ、と言った。

何だ、と思いながら芽美を見る。


芽美は、嫉妬.....ウフフ、と言いながら笑顔を浮かべている。

これは何だ一体、と思いながら見ていると.....天龍ちゃんが芽美を引っぺがした。

それから怒る。


「芽美さん。.....明らかにベタベタし過ぎだから!」


「そんな事無いけどなー」


「もうちょっと!わざとやってるでしょ!!!!!」


「そんな事無いけどなー?」


天龍ちゃんは、もう!もう!、と強く引っぺがしていく。

それから遠くに引き摺っていく。

俺はその姿に苦笑しながら居ると。

天翔ちゃんが俺に頬を膨らませてそのまま俺に抱き付いて来た。

え!?


「.....お兄ちゃん。何だかイラッとするから」


「.....どういう事だ.....一体.....!?」


「ちょ!ちょ!.....兄貴は私のもの!天翔!」


「.....そんな事無いけど。.....天龍。全てが貴方のものじゃないから」


「もー!!!!!」


俺.....何か悪い事したか?

そして何かしたか?

思いながら.....俺は天翔ちゃんと天龍ちゃんを見る。


天翔ちゃんも天龍ちゃんも嫉妬の様な感じで見合っていた。

俺は盛大に溜息を吐きながら考える。

だが答えは浮かばないんだが.....。

その代わり言う感じで話を進めたのが芽美だった。


「.....まあ冗談は置いておいて。.....本当に良かった。.....和奈が無事じゃなくても生きていて」


「そうだな.....まあ有難うな。.....そんなに心配してくれて」


「.....そうだね。.....でも.....また何か追求したりしたんじゃないの?」


「.....まあ.....うん」


「殴られて当然の事はしない方が良いと思うけど。.....全く。それが.....君だけどね」


そんな事を言いながら額に手を添えつつ溜息を吐く芽美。

そしてソファにゆっくり腰掛ける。

それから、ゴメン。私が言うのもなんだけど和奈も座ったら?、と言ってくる。

そうだな.....まあ確かに.....立ったままだしな。

座るか。


「天龍ちゃん。天翔ちゃん。.....座らない?」


「.....そうだね。お兄ちゃん」


「そうだね.....」


それから天龍ちゃんと天翔ちゃんと腰掛ける。

そしてそれを確認した芽美が話し出した。

ところでどうして喧嘩になったの?、と、だ。


俺は、ちょっとな。天翔ちゃんがクズに余所見で打つかってそれからそのクズと喧嘩になった。

と隠さずに全部話す。

すると芽美は顎に手を添えた。


「大体は聞いていたけど.....そうなんだね.....大変だったんだ」


「.....まあクズは所詮クズだから。.....仕方が無いんだと思うけどな」


「.....まあそうは言ってもね。.....でもそうだね。殴るとか.....最悪」


「そうだな.....うん。確かにな」


「私は許せない。.....幾ら何でも」


「.....芽美.....」


まあ有難うな、と言いながら俺は苦笑する。

芽美は頬を赤くしながら、別に、と言いながら横を向く。

それから.....天龍ちゃんと天翔ちゃんを見る芽美。

それじゃ一家団欒になったし帰ろうかな、と言いながら立ち上がる。

そんな芽美に、サンキューな、と言う。


「.....本当に有難う。心配してくれて。.....気を付けてな」


「.....うん。だって和奈だからね」


「.....ああ。.....ああそう言えば彼氏さんは元気なのか」


確か俺を振った時に彼氏が居るって感じになっていたよな?

俺は思いながら芽美を見つめる。

芽美は、え?あ、えっと、と緊張する。

何だ一体、と思いながら首を傾げた。

そんな反応をするのは何故?


「.....えっと.....元気だよ。.....アハハ」


「オイオイ。.....まさかもう別れたとか?勘弁してくれよ?」


「.....そ、そんな事無いけど。別れてないけど」


「.....そうか?.....なら良いけど」


顔がかなり複雑な顔になる芽美。

まるで苦虫でも噛み潰した様な。

何だか良く分からないが.....これは触れない方が良さげだな。


取り合えずそう思いながら俺は、芽美。引き止めてスマン、と言った。

芽美は、うん.....、と俯いた感じになったが歩き出す。

それから玄関で靴を履き始める芽美。


「.....ねえ。和奈」


「.....何だ?」


「.....もし私が.....彼氏と別れたら.....どう受け止める?」


「.....?.....それはそれで.....まあ対応するが」


「.....そ、そう」


芽美は嬉しそうに去って行く。

それから踵を返して笑顔を浮かべた。

俺は目をパチクリしながらそのまま見送る。


そうしてドアが閉まってから.....。

ふう、と溜息を吐いた。

それから背後を見ると.....天翔ちゃんと天龍ちゃんが顔を見合わせている。

そしてジト目をしていた。


「.....負けられないかも」


「.....そうだね。.....天翔」


「.....え?.....何が?」


「.....兄貴。女の子に追求は駄目」


「.....え.....え?」


ちょっと待て。

何が起こっている?

俺は考えながら.....天翔ちゃんと天龍ちゃんを見る。

だが2人は.....目を逸らして決して俺に話はしなかった。

それから.....2人共リビングに行ってしまう。


「.....???.....何だろう.....俺何かした?」


そんな事を一緒に居た母親と翔さんに問うが。

母親も翔さんも?を浮かべて首を捻った。

何も分からない感じだったが。

その中で翔さんは、まあでも、と言ってきた。

君のお陰だね、と話してくる。


「.....和奈君。.....明らかに変わり始めた。.....天翔も天龍も。.....本当に有難うね」


「.....俺.....そんなにして無いですよ?」


「.....いや。君のお陰だと思うよ。.....特に天翔があんなに元気なのはね」


それから翔さんは柔和な顔から笑顔を浮かべた。

母さんも笑みを浮かべる。

それを見ながら俺は苦笑した。

そして.....リビングに戻る。

そうしてから.....天翔ちゃんと天龍ちゃんを見つめる。

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