第4話 幼馴染と天龍の嫉妬
家族ってものは時に不協和音になる。
何が不協和音と言えば.....いやそうか.....家族じゃなくてもそうなる事がある。
人間ってのは.....そうなる事があるんだ。
俺は思いながら.....リビングでソファに座って居る天翔ちゃんを見る。
天翔ちゃんは物言わずそのまま本のページを1ページずつ捲っている。
その姿を見ながら.....俺は仕事をしている翔さんを見る。
翔さんの本職はプロのネットサイトを作ったりする仕事らしかった。
俺はその姿を見つつ、翔さん、と聞いてみる。
すると翔さんは直ぐに反応して俺に笑みを浮かべた。
そして顔を上げてくる翔さん。
「.....どうしたんだい」
「.....俺は.....天翔ちゃんの兄になれるでしょうか」
その問いに答えたのは翔さんでは無かった。
丁度その横から現れたトイレに行っていた天龍ちゃんだ。
俺に対して強く言ってくる。
なれる、と。
「なれるよ。兄貴。だって兄貴だから」
「.....そうか。.....有難うな。天龍ちゃん」
「.....まあ天龍がああは言っているけど.....君はなれるよ。あの子でも.....兄に。.....君がどういう人か不安だったけど.....僕は今となっては期待してる。君なら.....私達の世界を変えれるだろうって」
「.....そうですか.....」
正直言って。
俺は.....そんなに頑張るつもりは無かったが。
そんな風に言われるとな。
思いながら.....俺はソファに腰掛けている天翔ちゃんを見る。
それから溜息を吐いた.....その時。
インターフォンが鳴った。
俺は、宅急便か?、と思いながらインターフォンを見る.....と。
「.....芽美?」
松原芽美(まつばらめぐみ)17歳。
まあつまりを言うと俺と同級生の俺の幼馴染。
俺を振った張本人である。
美少女だが.....まあそんな事はどうだって良い。
多分.....お裾分け的な感じなのだろう。
横が家だしな。
お菓子を持っている。
「.....?.....兄貴。誰か来たの?」
「.....ああ。.....えっとな。俺の幼馴染の女の子だ」
「.....幼馴染?.....女の子.....へー」
「.....何でそんなにジト目になるんだ」
「.....別に?.....へー.....」
何故か分からないが。
天龍はジト目で俺を見ていた。
俺は?を浮かべながらも玄関に向かう。
それからそのままドアを開けると。
芽美が手を振っていた。
「和奈」
顔立ちは整っている感じの僅かな童顔。
それから髪型はボブヘアー。
そして髪の色は黒で.....髪留めを2本している。
可愛い感じの女の子だ。
は良いが。
「.....どうした?芽美」
「いや。お母さんからお裾分けだって。.....これ。お菓子だけど」
「.....ああ。そうなんだな。.....有難うな」
そんな会話をしていると。
背後から天龍ちゃんが現れた。
そして真剣な顔で芽美を見つめる。
いち早く反応したのは芽美だ。
俺に対して目をパチクリして、え?、的な反応をしている。
それから、ちょ。誰?、と慌てる。
俺は、えっと、と言いながら天龍ちゃんを見る。
「.....実はな。母親が再婚したんだ」
「.....それは知ってるけど.....え?こんな子も一緒だったの?」
「そうだよ」
その言葉を発したのは天龍ちゃんだ。
俺は天龍ちゃんを目を丸くして見つめる。
それから天龍ちゃんは俺に縋った。
まるで幼子の様に、だ。
そして舌を出した。
「.....ほほーう。かなり挑発する女の子の様だね」
「いや。.....そういうあれじゃ無いんだが.....何時もはこんな感じじゃない。.....すまん.....」
「.....良いんだけど.....手を出さない様にね。その女の子に」
「兄貴はそんな事しないもん。んべ!」
ほほーう?、と芽美はピクッと眉を動かす。
それから眉を顰めた。
ねー。兄貴ー、と笑顔を見せてくる天龍ちゃん。
いや.....どうなっているのだ。
と思いながら苦笑いを浮かべつつ芽美と天龍ちゃんを交互に見る。
「天龍ちゃん。どうしたんだ。そんな事をする様な子じゃないよね」
「.....何?兄貴はあんな意地悪な子が好きなの?」
「.....い、いや。好きっていうか.....」
何か、告白しました、とは言えない感じなのだが。
俺は冷や汗を流しながら.....芽美を見る。
芽美はジト目をしていた。
それから俺に真顔で、このロリコン、と言ってくる。
オイ。何故そうなるのだ。
「私はロリじゃ無いもん」
「.....どう見ても子供だよね。.....天龍ちゃん」
「子供じゃ無いもん!小学校高学年だもん!」
「.....もう.....どうすれば良いんだ.....」
俺は額に手を添えながら.....盛大に息を吐きながら。
それから芽美を見る。
芽美は何を言っても無駄と悟ったのか、フン、と言いながらツーンとしつつ。
俺に向いて、馬鹿、と言って去って行った。
顔を引き攣らせて俺はその事に苦笑する。
それから天龍ちゃんは、んべ!、とまた舌を出す。
俺は、何でそんなに嫌っているんだ?、と天龍ちゃんに聞いた。
天龍ちゃんは、兄貴。私は他の女の子に兄貴がそのまま取られるのが嫌、と首を振りながら言ってくる。
「兄貴は私達の.....兄貴だよね?」
「お、おう」
潤んだ瞳で俺を見上げてくる天龍ちゃん。
それから俺に縋ってくる。
俺は目をパチクリしながら受け止める。
そして天龍ちゃんの頭を撫でた。
うーん.....。
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