#Interlude03 * 世の中は金@服従させる葛島隆介
イベントの企画からキャスティングまでようやく終わって年末か。
来年は新作お願いしますよって書けるわけねー。忙しくてそれどころじゃねえんだわ。っていうか、誰かのパクるんだから、そいつ探すのがめんどい。
にしても、新春イベントにまさか向こうから声を掛けてくるとは、面白いじゃねえか。
——ヴェロニカ。
しかも、パーティー・ライオットではなく、あのヴェロニカ単騎だぜ?
笑えてくる。
僕の
「隆介さん……これって浮気かな……」
「まあ、そうだろうな」
やっぱり安いラブホはダメだな。臭い。臭すぎる。それに空気も悪い。
こんなところで寝たら、肺が腐るぞ。
しかしマジメ過ぎる女だ。一度抱かれただけでメソメソしやがって。
バレなきゃ浮気じゃねえんだよ。そんなの社会の常識だろ?
お前のオツムは、そんな社会通念上の常識も入っていないスカスカのスポンジかっつうの。
こいつ、熱愛している彼氏がいるんだよな。
……気になるな。NTRフリークの僕としては彼氏のことが気になる。
それにしても
まだ19歳だとか。
いとけない表情が歪む顔は最高だったなぁ。
「……どうしよう。わ、わたし……」
「大丈夫だ。まずバレない」
「で、でも」
馬鹿すぎる。テメエがアヘアヘしているとこなんてとっくに撮影済みだし、彼氏の情報聞きだしたら匿名で送りつけてやんよ。
「お前の彼氏はどんなヤツだ?」
「……なんで聞きたいんですか?」
「いいから話せ」
「同じ大学の…」
「どんな?」
「普通の……」
「あっそ。そいつと将来結婚とか考えてんの?」
「……分かりません。でも、彼は真剣みたいなので……」
「へぇ。なら、そんなヤツと別れて、俺の女になれよ。そしたら、お前は将来確実だぞ。どうだ?」
「え……りゅ、隆介さんと……?」
「ああ。どうだ?」
「えぇ……そ、そんな……じゃ、じゃあ……ヒデ君とは……別れ……」
「いや。僕は強制なんてしていないよ。ただ、もしこのまま別れないなら……君の姉の声優、いや人としての将来はどうかなって言っているだけだし」
「そ、そんな……わ、わた、わたし……ヒデ君を裏切れ……ないです」
こいつ馬鹿なのか?
裏切れないです……とか言って、現在進行系で今どこにいると思ってんだアホ。
とはいえ、ここに
だが、ヤッちまったもんは諦めて開き直れよ。
「裏切らなくていいんじゃないか? 付き合ったままでいいだろ?」
「え……それって?」
「人はなんで1人のヤツと結ばれなきゃいけないんだ? 2人でも3人でも好きになることがあるのは当然だろ? なら、自分に嘘をつくのを止めて隠し通せばいいだろ? 違うか?」
「い、意味が分かり、ません……」
「ああ、言っておくが、お前に選択肢なんてないから?」
「え……」
「お前の姉の
「……そ、それだけは……お姉ちゃんは……あんなに苦労してやっと、やっと声優のお仕事……」
「そうだよなぁ。だがな。夢実は……道を誤ったんだ。あんなホストに騙されて。マネーロンダリングの片棒を担いだんだからなぁ。証拠も見たろ? いいか? これが世間に知られたら声優を辞めるどころの騒ぎじゃないぜ?」
「……分かりました。ヒデ君とは……わ、別れ……ます……ひっく」
「おいおい。泣くなよ。お前にとってもいい話だろ。うちで育ててたっぷり可愛がってやるからな」
ちょろいぜ。マネーロンダリングをしてんのは鬼島だ。裏賭博で資金洗浄して稼いでんだろ。その裏帳簿の日報の名前を夢実に書き直してやっただけで、あっさり信じやがった。
「さて、たっぷりご奉仕してもらおうか。妹ちゃんよ?」
「……あの……お姉ちゃんはどうなっちゃうんですか?」
「心配するな。身分は保証するし、声優としてちゃんとやっていけるから。ただし、それはお前次第だろうな」
「わた、し……次第?」
「ああそうだ。それに僕が君にしていることを他の人に話したら……久米夢実はどうなるか分かるよな」
「ひ……お、おねがい……い、痛いッ!! か、髪を……掴まないで……くださ、」
そろそろ頃合いか。ここで優しくしてやればコロッと落ちる。
アメとムチだ。
「よしよし。良い子だ。もし言うこときいたら、何でも買ってあげよう。何がいい? 車か? マンションか? ブランド物の服か? 財布か? アクセサリーか?」
「……え?」
「勘違いしないでほしい。僕と付き合うってことはそういうことだぞ?」
これで
世の中は結局、金次第なんだよな。
ああ、愉快な世界だ。
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