第23話 解き放たれる?
市木清田は、いつものように仕事を終えて、いつものようにぺペンギンと、寝るまでの間の会話を続けている。
「無限のループですか?」
「せやで」
「このままズルズルと、ですか?」
「せやで」
「出たり入ったりの終わりの無いメビウスの輪ですか?」
「せやで」
「運命は私にどうしろ?と言っているのでしょうか?」
「せやなぁ」
「・・・・・・・・。」
マルセリーノは続ける。
「お前さぁ、輪廻って知ってる?」
「はぁ、死んだり生まれたりする事ですよね」
「そうやね。それは仏教的な考え方のひとつやねんけどな。この世は修行で、修行が終わらん限り、つまり悟りを開けん限り、永遠に繰り返すであろう生まれ変わりの連続やって言われてるやつな」
「輪廻転生ですよね?」
清田が答えるとマルセリーノが喋り出す。
「ワイらの星では修行言う言葉やのうて、この星の言葉で言うたら、旅、ってゆうような感じで捉えてんねん」
「修行じゃなくて旅ですか?」
「うん、旅やで。修行言うたら何んや難しそうに聞こえるけど、実際にも嫌なことが多すぎるよな」
「はい、今の自分です」
「うん、今、しんどい時期やと思うで。それでや、その嫌なことを乗り越えて行くんも修行やし、それを乗り越え終えた時がひとつの成長みたいな感じで言われてるところもあるやん」
「はい、まさに修行ですよね」
「そう。でな、前にや、切り離す、とか、飛ばしてしまうんや、とかってワイ、言うたよな?」
「はい、覚えていますし、実際に実行もしてるんですけど、なんて言うのかな? 飛ばしたものが戻ってきたような時が多いです」
「うん、急にやれ、言われてもなかなか難しいと思うで。徐々にでええねん」
「はい、続けていきたいと思ってます」
「うん、うん、そんなところでええよ」
「はい」
ひと息ついてマルセリーノは続ける。
「さてと、さっきの話に戻ろうかいな」
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