第21話 神話
マルセリーノはネギシラスを齧るとシングルモルトを飲み、話を続けた。
「ちょっと脱線してもうたさかい、話を元に戻そやないかい。神国日本って言うけど、それはほんまや。ただちょっと違うのはな、神話で必ず出てくるのは、やで、伊邪那岐乃命、伊邪那美乃命やろ」
「そうだったと思います」
「でもな、祝詞ではな、神漏岐乃命、神漏美乃命、ってなってる場合もあんねんな。それが伊邪那岐乃命、伊邪那美乃命と同一なんかはワイらも分かってへんねん。別の星のワイらよりもっと日本の歴史を研究した連中やったら詳しい事を知ってるかもしれへんけどな。ま、神から漏れた言うのんは天の神様の中から地上に降り立った言う意味や。ただ、その祝詞の中にはな、神漏岐乃命、神漏美乃命、もしくは伊邪那岐乃命、伊邪那美乃命、を以ちて、になってんねんな。この言葉はいろんな祝詞の最初に使われるねんな。で、以ちて? この言葉使いにワイらの星は疑問を持ってん。そこで重要なんは、その後に続く言葉の中にある神々ちゃうのんか?って言うのがワイらの研究所の捉え方やねん。何でか言うたらな、先に言うた神さん達は祝詞の最初に出てくるだけで、実際に動いたんはその後に出てくる神さん達やねん。この日本、いや地上と言うても言い過ぎやないと考えてんねんけど、この世界のあらゆる罪と穢れを持ち出した神が
「だんだん分からなくなって来ました」
「ええねん、ただな、歴史はいつも人の手によって作られてきた。それが言いたかっただけやねん」
「それは分かるような気がして来ました」
「その作られた言うたら言い過ぎやったかもしらんけど、今から続いて行く歴史の中で、お前、いう存在がめっちゃ大切や、って言うことを知って欲しかってん」
「私は、歴史を変えられるのですか?」
「アホか! 誰がそこまで飛躍せい、言うてん。お前、底抜けやな」
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