第4話
『おねが…す…!わ…は、か……た…い…!』
少女は懇願していた。だが、その相手は見えない。彼女は、今までずっと、見えない、誰とも知れない相手に怯えて暮らしてきた。その何者かは、今までずっと、か弱く、気弱な少女を怯えさせてきた。そして、それは、まだまだ続く。ずっとずっとその命果てるまで。
『っ…。』
ぞわり、と危機を示そうと身体が反応する。近づいてくる。形を持ったものが。今までは、形など見えなかったはずなのに…。だが、幸か不幸か、それは予兆にすぎなかった。まだ来ていないが、いずれ来るだろう。アイツの姿が見えた時が、この少女の最期だ。
「はっ!またか…。」
また、夢。あの少女が出てくる夢。
「この夢には何か意味あるのか…?」
夢は、一般的にはその人の願望を表すという。要は、現実では実現できそうにないことを夢で実現させるのだ。まあ、正夢や逆夢などの例外はあるのだけれど。
「よし!もう一度清香に聞いてみるか!」
清香のあの様子は妙にひっかかった。何かを隠すような、否、何かを憂いている?あるいは、何かつらい過去を思い出しているような…。
何かを知っていることは間違いない。
俺は身支度をして急ぎ足に学校に行った。
「あっ!おい、清香!」
間一髪。靴箱で油断していた清香、ではなく俺の顔面がグシャッとなるところであった。どうやら完璧に俺の顔を捉えていたらしく、少し頬を掠った。ちなみに、俺の顔を見ずにである。
「あっぶッ!?」
「あらあら、すみません〜。急に私の体に触れられたものですから〜。」
うん。清香を狙ってしまった痴漢は、次の瞬間、最悪の場合死んでるだろうなあ。
「って、あら〜!?」
バッチリと目が合いました。清香の目は大きく見開かれました。
「清香、ちょっと昨日の件で…。」
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