#07 自警団VS護衛戦闘団
1週間後の放課後、学院長直々に認める自警団VS護衛戦闘団との試合が始まった。
ルールは不平等戦だが、魔法の使用を許可していると同時に戦意喪失のためなら相手の四肢を吹き飛ばしても黙認するという内容だ。
「――両者、準備を!」
学院長が自ら手を挙げて、両チームを見渡した後それを降ろした。
「始め‼」
それと同時にフィリスらはスモークグレネードの栓を抜き、腰に装備した。刹那、リリアに持たせていたMP5-Kから30発もの9×19ミリパラベラム弾が火を噴いて飛び始めた。
MP5-KのKはドイツ語でクルツと呼ぶ、意味は切り詰めているという意味だ。
ここで話は、6日前に戻る。
2人に手渡したある物というのは、リリアにMP5-Kでエルネアには
「――リリアは試合開始と同時に牽制射撃で相手を怯ませて、エルネアは身体強化魔法で自分を
「それだとボスが――」
「大丈夫。万が一の時はもう一度、リリアの牽制射撃で注意を引いてくれればいいから」
陽が落ちる頃、俺は寮に戻る前に2人に念話の仕方を教えておいた。この念話は、魔力を僅かしか使用しないため、閃光による視界を封じられても会話や報告を可能にする。
次の日は、2人に扱い方や手入れ方法、撃ち方や装填の仕方などを教え始めた。最初は3日かかるだろうと読んでいたが、2人の記憶能力の高さに驚いた。なんと、2日で覚えてしまったのである。
試合前日。
2人に最終確認として、小規模な試験を与えた結果・・・完璧に連携した戦術までになっていた。
****************
リリアが牽制射撃をしている間に、徐々に煙が立ちこみ始めた。
『エルネア、3時方向に撃てる?』
『えー・・・、3人居るけれど?』
「リリアは、牽制を辞めて気配を消してくれ」
『ん』
「エルネア、靭帯をぶち抜いてやれ」
『了解~』
――ドンッ、ガキュンッ‼
近くの煙から、M82A1の発砲音と空薬莢の排出音が聞こえてくる。
「・・・リリア、援護頼む」
『ん、分かった』
鞘からフィリス・ディラスリナ専用の
意表を突かれた自警団は魔法弾を乱射してくるが、当たりそうに物だけを軍刀で弾き徐々に近づいてくるフィリス・ディラスリナに集中砲火になった。
フィリスの背後から無数の弾丸が煙から飛び出してくるので回避行動をし続けていた自警団は、魔力が枯渇したのか順番に地面に倒れていった。
『残弾ゼロ、再装填』
「ご苦労、助かった。さぁ、自分の過ちに見つめ合え」
軍刀を残った1人の頭上で寸止めにしたところで、学院長から「――そこまで!自警団の戦意喪失を確認したため・・・勝者、護衛戦闘団‼」という合図が下った。
いつの間にか見学に来ていた学院生たちが、一斉に歓声を上げた。
「ヤバいぜ、お前等!」
「フィリス君、ファンです!サインして~‼」
反対に学院の先輩からは、自警団に対する冷たい声が出ていた。
「・・・――なぁ、自警団だろ?プライド、取り戻したくないか?」
5人は俺を睨め付ける気力がないのか、地面を叩いた。
「上から目線でごめんだけど、戦術が単純すぎる・詠唱時間が長い・魔力によるもう一手が無い。この3つが敗因だと、僕は感じるね」
その時、砂漠仕様迷彩服を脱ぎ捨てたリリアとエルネアがやって来た。
「ボス、強い。今なら、やり直せる」
「うん、うん。確かに、ボス――フィリスは強いよ。この学院にいる全員で相手になっても、多分。無理だねー」
「――じゃあ、あたしら自警団は下部組織になるのか?」
「いや、直属だけど別組織にする予定だ。名前は
「ポリス・コープス・・・か、キミらに負けた上に改名させられるって。大した慈悲だよ」
金髪で紅い瞳の1人が立ち上がり、手を差し出した。
「あたしの名は、元自警団団長リーガル・カティナ!よろしく、ボス」
おいおい、思いっきりリリアに影響されているじゃン!
残りの4人も名前を言って、握手をした。
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