蒼井ミハエル ~吸血鬼から見た人間という生き物~ 巻の二
自分が拘りたいことには<生き物としての本能>に反しても、自分が面倒だからやりたくないことについては<生き物としての本能>を持ち出して言い訳とか、マジしゃらくさいんだよ
自分が拘りたいことには<生き物としての本能>に反しても、自分が面倒だからやりたくないことについては<生き物としての本能>を持ち出して言い訳とか、マジしゃらくさいんだよ
ダンピールである
<別の種>
だ。だからこそ理解できない部分が出てくる。
「自分が拘りたいことには<生き物としての本能>に反しても、自分が面倒だからやりたくないことについては<生き物としての本能>を持ち出して言い訳とか、マジしゃらくさいんだよ」
そう口走る安和にアオが補ってくれる。
「
だけど人間は、自分が歳をとったら子供に世話をさせようとする。<育ててやった恩>とかいう虚構の概念をでっち上げて、弱った自分が子供から攻撃されないようにしようとするんだ。これだけでも人間って生き物がいかに自然に反してるかってのが分かるじゃん。
そういう意味じゃ、私は、歳をとってもみんなに守ってもらおうとは思ってないんだ。自分の力で生きていけなくなったら退場してもいいと思ってる。
でもさ、その一方で人間は、<自分にとって大切な相手>ってのを見殺しにはできない生き物でもあるよね。<自分にとって大切な相手>に危害を加えられたら復讐を考えずにいられない生き物でもあるよね。だから守ろうとする。子供にとって親が<守りたい相手>なら、まあ守ってもおかしくはないんじゃないの?
だからさ、『守ってもらいたい』と思うのなら、せめて<守りたいと思ってもらえる存在>でいる努力はしなくちゃいけないって思うんだよ。親が子供を守るのは、自分の勝手でこの世に送り出したことに対するいわば<尻拭い>だから子供がどうあれ自分の力で生きていけるようになるまでは守らなきゃとは思うけど、赤の他人の場合は、それも関係ないからね? 『自分が気に入らないから』なんてくだらない理由で誰かを傷付けようと躍起になってる奴なんて、なんで守ってやらなきゃいけないのさ? 誰かを傷付けようとするってことは、自分が誰かから傷付けられることも覚悟しなきゃおかしいよ。
イジメもそうだよね。『自分が気に入らないから』なんてくだらない理由で誰かをイジメようとするのなら、同じように『自分が気に入らないから』なんてくだらない理由で誰かからイジメられて当然じゃん。
でも、だからこそ、私はみんなに誰かを理不尽に攻撃するようにはなってほしくないんだよ。だってそれは<誰かから理不尽に攻撃されても仕方ない原因>を作るってことだからさ」
食後のコーヒーを口にしながら、アオは安和達にそう説くんだ。
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