第一章
婚約者
第1話 お誕生会
フラーグルム王国の宮殿ではアルミュール・アルマ・フラーグルム第一王子の誕生会が開かれている。
リリーは新調したての青色のドレスを着て出席した。
リリーの髪は珍しい白銀の色をしているので、白いドレスを着ると、真っ白に見える。本当は白いドレスの方が好きだが、母と兄が、髪の色が映えないと言って、青色のドレスを着ることになった。
婚約者のアルミュール・アルマ・フラーグルム王子は、兄と同じ16歳になった。
いつもお転婆なリリーも伯爵令嬢である以上、礼儀作法の練習は物心ついた頃から家庭教師が付き教わっている。社交界デビューも終えている。パーティーの時くらい、おとなしくできるし、言葉遣いも正しくできる。
アコラサード伯爵一家は、主役のアルミュールの前でお辞儀をして贈り物を渡す。
「アルおめでとう」
「ありがとう、リリー」
「アルミュール殿下おめでとう」
「ありがとう。ハスタ」
アルミュールとリリーは幼い頃に婚約をしている。
幼い頃から幼なじみのように遊び、兄妹のような間柄だ。名前も親しく呼び合っている。
リリーは白銀の髪と透き通るような青い瞳をしているが、アルミュールは、赤茶の髪をして、瞳はやはり赤茶の色をしている。
リリーに言わせれば、普通ね。
兄は亜麻色の髪に深みのある青色の目をしている。
リリーに言わせれば、お兄様の方が王子に見えるわと平気で口にする。リリーに悪気はなく、思った通りの事を口に出しているのだが、それは口が裂けても言ってはならないと、両親に強く言われている。
顔立ちは整い、ハンサムであるから、まだマシだ。これで不細工なら、リリーは婚約破棄していただきたいと申し出ているが、まだまだ年齢が若い。これからなにが起きるかわからない。
第一王子のアルミュールの性格は穏やかで、どこかおっとりしている。リリーのように活発ではなく、部屋でぼんやりしているような性格だ。学校の成績は最下位で、頭は悪い。一緒にいても幼い弟がいるような感じだ。そこに不満を感じる。もっと頼りがいのある婚約者ならいいのに。
第二王子はまだ幼く、6歳だ。こちらは活発だが、さすがに6歳の子と婚約する気にはなれない。
兄がアルミュールの側近になる予定なので、よく兄は王宮で、側近の勉強をして剣術も習っている。
アルミュールはアコラサードの家にもよく遊びに来て、泊まっていくこともある。小さな頃は、リリーと遊んでアルミュールを泣かせたこともあるほどだ。
招かれたお客が順にプレゼントをして、プレゼントを終えると、パーティー会場に招かれる。食事は立食パーティーになっていた。
「お父様、お母様、お料理を食べてきていいですか?」
「お行儀よくなさいね」
「はい」
リリーは食事が並べられたテーブルに近づくと、お皿を手にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お読みいただきありがとうございました。
この作品はカクヨムコン7に参加しております。
フォロー、☆☆☆評価、レビュー、感想、応援♡などを頂けると励みになりとても嬉しいです。(特に☆評価はカクヨムコン7期間中にいただければ有難いです)
面白くて読みやすい作品になるように頑張りますので何卒完結まで応援宜しく願い致しますm(__)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます