シーン 18

 少し暖かくなってきた日。朝からいつもと雰囲気が変わっていた。 


「お弁当は卵サンドとジャムサンドにしたわ、バナナとあと、あなたの好きな濃いミルクティもボトルに入れといたよ 大丈夫?用意出来たら出るわよ」 とお母さんが、すずりチャンに向かって言っていた。


 すずりチャンも「大丈夫」と言って二階に上って行って、しばらくして下りてきたかと思うと、俺を両手で顔まで抱き上げて、「頑張ってくるよプチ応援していてね」って言った。何か声が弱弱しい、だから勇気づける意味でニャーニヤーと二回鳴いた気がしたが、二度目は声が出なかったようだ。それでもすずりチャンはニコッと返してきたように思えた。何だか俺には解らなかっが・・・。


 お母さんの運転で二人は出て行った。俺は車庫からそれを見送っていた。とにかく頑張れって・・・。電柱に止まっている黒カラをひさびさに見た。奴も見守っていたのだろうか・・・。


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