シーン 11

 今夜はとても大きな月が出ていて、明るかったが、ついさっきから雨が降り出してきた。タイミングを逃してしまって、今日は閉め出されてしまっている。下から見ると、すずりチヤンの部屋も明かりがついているのがわかる。ブロック塀から車庫の上に移れば、何とか一階の出ている屋根に飛び移れるかも・・・。少し、離れすぎているかなあー。まぁ行ってみるか。まず、車庫の上まで登った。こんなに離れているところを飛んだという覚えが無かった。でも飛べると自分に言い聞かせて、身を低くして足を縮めて思いっきり飛んだ。


 何とか端っこに引っかかった。飛べた。屋根伝いにすずりチャンの部屋の下から窓の出ている白い柵に飛び移った。ニャーニャァー 入れてって鳴いた。


 するとすずりチャンが窓を開けて、「プチッなんでー」って言って抱きかかえて部屋ん中にいれてくれた。「どこいってたのー」ってタオルで包みながら抱きしめてくれた。柔らかく、暖かかった。

 そのこと以来、俺はすずりチャンの部屋にいるとき、窓際に駆け寄ると窓を開けてくれて、夜の巡回をして、用をたして、又その窓の外で声を出すと中に入れてくれるといった感じだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る