転生貴族の護衛騎士の冒険黙示録ーチートな能力を持って異世界を攻略する─
くろとら
第1話 プロローグ
「・・・暇だ。・・・本当に暇だ。こんなに、暇を持て余すことになるならアイツらと一緒に旅行に行くんだったな・・・」
青年─海道零時は、そんなことを呟きながら自宅のベットの上で横になり携帯をいじっていた。
零時がしばらく、携帯をいじっていると「ピコン!」と言う聞き馴染みの通知音が何回か鳴った。
零時は、「何だ?」と一言呟き画面上に表示されている通知を一回タップした。
『今、皆でバーベキュー楽しんでまーす!!お土産楽しみにしててねー!!』
と言うメッセージと数人の男女がバーベキューを楽しんでいる写真が画面に表示された。
この、メッセージの送り主の名前は立花渚。零時が通っている高校の同級生でもあり、小学校から付き合いのある幼馴染みと言うものだ。
「アイツらも旅行を楽しんでるみたいだな・・・。まぁ、俺もそろそろ腹も減ったし何か軽く作って食べるとするかな」
零時はいじっていた携帯をベットの脇に置きベットの上から立ち上がった。ベットの上から立ち上がった零時は夕食を作るために階段を降りて行き自宅のキッチンに向かって行った。
因みにだが、零時は母親、父親、姉の四人でこの家に暮らしているが両親と姉はそれぞれ会社に泊まり込みとなってしまっているため今この家には零時しか居らず自分で夕食を作るしか無かった。
「さてと、今日の夕食は無難に炒飯でも作るかな」
夕食のメニューを考えながら冷蔵庫を開け食材を確認してみると、中にはもやし一袋と半分の大根しか無かった。
「・・・いや、まじかよ。もやしと半分の大根だけって嘘だろ・・・。はぁー、仕方ない家の近くのスーパーで何か食材でも買いに行くか」
零時は冷蔵庫の中身を確認し絶句しながらも階段を上がって行きベットの脇に置かれている携帯と財布を手に取り家を出た。
零時が外に出ると、外は既に暗くなっておりほとんど人の気配は無かった。
「うーん、やっぱり今日は炒飯じゃ無くってオムライスを作ろうかな・・・」
零時は時々正面から歩いて来る人達を避けながら、改めて今日の夕食の献立を考え直しながら歩いていた。
しばらく歩き続けてスーパーの入口が見えるところまで来ると突如スーパーの入口から叫び声が聞こえるとともに数人の人が走りながら出て来た。
「きゃぁぁぁぁぁぁあ!!」
「た・・・助けてぇぇぇぇ!!」
「み・・・みんな、逃げろぉぉぉ!!」
逃げ惑うカップルや家族連れの後ろには、手に20cmほどのナイフを持っている男がナイフを持っている手を振り回しながらスーパーから出て来た。
「くそクソくそ!!みんな、俺のことを馬鹿にしやがって!!みんな死んじまえばいいんだ!!」
男は右手に20cmほどのナイフを持っており、目は何処か血走っていて情緒が不安定なようだった。
そんな、男は見境無くスーパーから飛び出した人達を追い掛けていた。
「おいおいおい。こっちに来るのかよ・・・!!これは、逃げないとやばい事になりそうだな・・・」
男が自分の方向に向かってくることを察した零時は、振り返り逃げようとした時突如その足を止めた。
何故なら、零時の後ろにはセーラー服に身を包んだ中学生ぐらいの少女二人が腰を抜かし怯えていたからだ。
「お・・・おい!!取り敢えず、立てお前ら逃げるぞ!!」
「む・・・無理です」
「こ・・・腰が抜けて、た・・・立てません」
「まじかよ・・・」
零時は腰を抜かして怯えている少女達に近寄り逃げるように促したが完全に腰を抜かしている少女達は直ぐに逃げるどころか立ち上がることすら出来なかった。
「・・・・・・はぁー、しょうがねぇな。ここは、覚悟を決めないとな」
零時は一度深く深呼吸をした後、ナイフを持っている男に向かい走り出した。
そして、男にどんどんと近付いて行くとそのまま地面を強く踏み込み男の胸に格闘家顔負けの飛び蹴りをきめた。
「グエッ!!」
ナイフを持っている男はカエルの様な悲鳴を上げ地面に倒れ込んだ。地面に倒れ込んだ男の手からはナイフが勢い良く転がって行った。
そして、零時の飛び蹴りをモロに喰らった男はそのまま周りに居た大人達に押さえつけられてしまった。
人生初めての飛び蹴りを成功させた零時は汗を拭っていると腹部に謎の熱さを感じ強烈な痛みに襲われた。
ふと自分の腹部を見てみると、そこにはナイフで刺されただろう傷があり、その傷からは大量の血が流れ出していた。
「・・・・・・まじかよ」
零時は、身体に力が入らず立つことさえも困難になりそのまま仰向けの状態で地面に倒れ込んでしまった。
辛うじて動かせる首を横に傾けると、男を抑え込んでいた大人達がタオルや自分の服を使い零時の腹部を強く押さえていた。
そして、今まで腰を抜かしていた二人の少女も零時の側に近寄って来た。
「お・・・お兄さん!!しっかりしてください!!」
「死んじゃダメです!!」
「その子たちの言う通りだぞ坊主!!今、救急車を呼んだんだからあと少しの辛抱だ!!」
零時の側に近寄って来た二人の少女は涙を流しながら今にも意識を失ってしまいそうな零時に声を掛け続けた。
「・・・・・・いや、多分これは無理だわ」
「「お兄さん!!」」
「おい、坊主!!」
少女とおじさんの呼び掛けも虚しく、零時は静かにそう呟き静かに目を閉じ、意識を完全に失ってしまった。
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