序章
華の女子高生の最悪な日
夕方の十七時から夜の二十一時までの四時間が『浪漫喫茶』の夜番の仕事時間だ。
その時間帯は決まって同じメンバーで働いている。
綺麗な着物のワンピースを着用している可愛らしい女子高校生三人組。
一人はキッチン、二人はホールと雑談をしながらも和気藹々と仕事に励んでいた。そんな時間はあっという間に過ぎてしまい、時計は閉店時間の二十一時を指していた。
ツインテールの少女が最後のお客様の会計をし、眼鏡をかけた少女がキッチンで洗い物を。そして綺麗な顔立ちの少女はトイレ掃除に向かった。
ルンルンと掃除に向かった少女の手から掃除道具が落ちる。
━カコンとバケツが落ちる音が響き渡る。
少女の目の前には信じられない光景が広がっていた。
思わず少女は甲高い悲鳴をあげてしまう。
「キャアアアアアアアアアア!」
その声につられ最後のお客様とバイト二人がトイレに入ってくる。
「だ、誰か!きゅ、救急車を!」
そう叫ぶ少女に集まった人たちは、目の前に広がる光景を見て唖然とする。
なぜなら少女の目の前には倒れている一人の女性がいたからだ。
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