第23話 別料金です!?

 フィアにマッサージをする時、僕は【聴覚】を1にして行ってみた。


 するとスキル『無音』を習得していた。


 だけど、話しかけられても無反応の為怒られてしまった……時々周りからも声をかけてくるから余計にだ。せっかくの対処法が使えない……。


 特にリリアさんがマシンガントークで話しかけてくる。


「私もして欲しい!」とか言ってるけど、やらない。今でも厳しいのに露出の激しい服装とかでやるとか無理に決まってるだろ!


 あと、なんか『危機察知』先生が反応するから近寄らないでくれませんかねぇ!?


 僕はひたすら無心で揉むっ!


「はぁ……はぁ……全……身……や、やばい……です……うぅん……」


「だろうね……」


 僕も別の意味でヤバいよ……。


「ロイ……君……ここもお願い……します……」


 ──!?


 そこは秘境へ続く道標じゃないか!?


 無理無理無理無理──


 どう考えても僕の理性が崩壊する未来しか見えないから!


 フィアさんや……あんためっちゃ肉付き良いんだよ?


 めっちゃ柔らかいしさ……本当触ってるこっちも気持ちいいぐらいなんだよ?


 秘境への扉はまだ僕には早い! 断らなければ!


「別料金ね? ──さて、ここまでね? 次はレラだよ?」


 咄嗟に出た言葉それだった。


「えっ!? 別料金!? ここ揉んでもらえたら更に気持ち良いと思ったのに……」


 そんな涙目の上目遣いでそんな事言わないで!


 想像しちゃうじゃないか!


 フィアの残念そうな顔を尻目に強制終了する事にした。


 次はレラか──


「ロイ、私はここを中心にやってほしいわ」


 うおいっ! そこはお尻だろっ!


 レラのお尻は引き締まって形が凄く良い……ウエストも細いから耐えれる自信がない。


 母さんは実の母親、シャーリーさんは友達の母親という理由でなんとか耐えてるんだぞ!?


「却下」


「えぇ!? なんでよ!?」


「別料金になります……」


 僕はまたそう言って逃げた。


 レラも男っぽかったのに最近は女の子っぽくなってるからね……僕の為に勘弁して下さい!


 マッサージを開始する──


「あぁぁぁぁん、うぅぅ……んん……」


 耐えてるレラの声は少し大きめで心に来るな……。


 しかし、大先生を使うと女の人は普段の声と大分印象が変わるもんなんだな……。



 なんやかんやで3人の艶っぽい声をなんとか耐えた僕は放心する。



「お疲れさん」


「し、師匠……僕はやりとげましたよ……いつか必ず──師匠のアドバイス通りにします!」


 そう、僕は必ずや愛する人を見つけて大賢者になってやる!


「あぁ、そうだな。そうした方が良い……」


 師匠は哀愁漂う表情で僕の肩を叩きながらそう言ってくれる。


 ただ、師匠……今チラッと見えましたよ? 耳栓はズルくないですかね!?


 まぁ、でも自力で乗り越えた僕は精神的にまた強くなった気がするな!


 これで実力も備わりたいけどね!


 はぁ……本当、色々と強くなりたいな……。



 この後は皆で仲良く談話した。


 しばらくして母さんとシャーリーさんが帰宅する。


 僕はので座ったまま声をかける。別に立ち上がれないのは股間のせいではない。


「あ、おかえり〜」


「ただいま〜。疲れたわ……」


「本当、貴族というのは面倒臭いですね……」


 確かに2人とも疲れた顔をしているな……貴族に会ってたのか。


「領主様の所に行ったの?」


「そうよ。今事件が起こってるでしょ? あれの依頼をシャーリーがされたのよ……」


「受けるの?」


「そんなもの断ったに決まってるでしょ? 何でそんな事しないとダメなのよ。シャーリーも休暇中よ? 兵士総動員して解決して来いって言ってやったわよ」


 シャーリーさん聖女様なのにそれで良いのか!?


 というか休暇長くない!?


「正直、私が勝手に受ける事は出来ないんですよ。『聖天』も私兵ではありませんからね。色々と決まり事があるんですよ……なんとかしてあげたいとは思うのですが、切り裂き事件ぐらいで一々動けないんです」


 そりゃあそうか……細かい事件ばっかり受けてたらキリがないもんな。


 これが被害の大きい事件とかならまた違うんだろな。


「税金取ってるんだから兵士が頑張れば良いんですよ! 魔物だってそんなにいないんですから、やらせても問題ないでしょ!」


 僕はそう言う。


 金ばっか搾取してないで働け!


「そうね? さすが私の自慢の子よ? それより──エレンと仲良くなったの?」


 母さんは僕と姉さんを見ながらそう聞く。


「え? だって姉さんなんじゃないの?」


「……そうだけど……何か距離近くないかしら? 男嫌いは治ったの?」


 確かに……姉さんは僕の真後ろでいる。


「さぁ? 男嫌いなら僕に抱き着いたりしないと思うんだけど?」


 まさか、もう治ったのかな?


「ゾル──エレンに近寄ってくれるかしら?」


「え?」


 何で俺なんだよ! と言いたげな師匠。


「早く」


「はぁ……しゃーねぇな……エレン近くに行くぞ。──治ってねぇな……」


 しぶしぶ師匠が近寄るとエレンさんの目付きは射殺さんばかりに険しくなり──


 ナイフを投げる。


 師匠も飛んで来たナイフを普通に掴んでいる。


 全然治ってねぇし!


「確かに治ってないわね……ロイだけ特別? 弟だから? まぁ心配だったけど、仲が良いならいいわ。その感じはもうエレンが義理の姉って事は知ってるわね。とりあえずこれで家族揃ったわね! エレンがロイに中々会おうとしないから無理矢理連れて来るか迷ってたし!」


「無理矢理って……」


「せっかくの家族が揃ったんだから良いじゃない。あーそうそう、シャーリーと言ってたんだけど──明日からするわよ?」


「へ? 魔物狩り?」


「座学なんてもうほとんど終わってるでしょ? 後は自分の力でなんとかしなさい」


 つ、ついに僕は魔物と戦えるのか!?


「おぉ、やったぁ!」


 ついに俺つえーが出来るんだな!


 楽しみだ!


「ふふふ、明日は私達もいるから安心したらいいわ」


 それは安心だな! でも、こういうのってラノベのフラグっぽいな!


「じゃあ、早く寝ないとね! おやすみ──」


 僕は逃げるように去ろうとすると──


「「待ちなさい」」


「な、なに?」


 まだ、何か呼び止められる事があるのか??


「今日のマッサージがまだよ?」


 その言葉に僕は撃沈する。


 度重なる「延長」の言葉に僕は「別料金です」と何度も対抗したのは言うまでもないだろう。


 母さん達は大先生の効果で若返っている気がする……それとレラやフィアもそうなんだけど、魅力的になっているような……。


 この先どうなるか不安で仕方がない……まぁ、冒険者を目指しているし──これもある意味だな……行き着く場所がわからないけど。



 一応、シャーリーさんや姉さんから『聖騎士』にならないか? と誘われているが──


 僕には『騎士』と聞こえてくるのは捻くれているからだろうか?




 限界まで耐え切った次の日の朝──


 久しぶりに夢精していた……。


 泣きそうだった……。

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