第9話 色んな意味で成長した!?

 目覚めると、凄い夢見が悪かった……。


 母さんが僕の大事な所をちょん切る夢だ。


 いや、夢じゃなかったっぽいな。


 きっと、ちょん切られたのは僕じゃなくてレラを襲った男達だろう。


【直感】先生がそう告げている気がする。


 哀れな男達に僕は黙祷を捧げる。


 でも、ダメ押しで吹聴もするけどね。


 男としても冒険者としても社会的にも死んでもらいたい。



 さて、今はまだ夜中だ。


 今日は本当に疲れた。僕が家にいるという事はあの後は母さん達が上手くやってくれたのだろう。


 そこまで強く感じなかったけど、Bランク冒険者に勝てたのは僕の中で自信に繋がる。


 これなら冒険者としてやっていけるかもしれない。


 しかし、何であそこまで戦う事が出来たんだろうか?


 僕は『感度操作』を表示させる──


『感度操作』

【直感】5

【視覚】3

【痛覚】5

【性感度】1


【直感】先生が5になってる! 最大値が上がった!


 レラの事もこれがなかったら気付かなかったし、とてもありがたいな!


 しかも何か増えてるし!


【視覚】か……どういう効果なんだろ?


 こういう時こそ『鑑定』スキルが欲しいな。


 この表示されてる文字を念じたら何かわからないだろうか?


 試しに【直感】を念じてみると──


 出来た。



【直感】:第六感と言われる『感』の一つ。現在は負担を抑える為に5が最大。練度が上がるとスキル『直感』『危機察知』『気配察知』習得可能(既に習得済み)。尚且つ上記のスキルと『感度操作』は重複強化が可能。他にもあるかも?


 ……おぉ?


 スキルを獲得?


 しかも、重複強化って……かなり凄いんじゃなかろうか?


 つまり、この3つを習得して効果を増したから最近調子が良いのか!?



 これ他のやつも何かあるのかも……もっと早くに気付けてれば良かった……。


 最後が疑問系なのが少し気になるが……。


 他のも見てみよう。


【性感度】は怖いから最後にしよう……先に【視覚】を見よう。



【視覚】:目の動体視力を調整出来る。現在は脳の負担を抑える為、3が限界値。練度を上げると『鑑定』『見切り』『予測』など習得出来る。他にもあるかも?


『鑑定』?


 マジですか!


 念願の鑑定が習得出来るのか!


 これらやるしかないでしょ!


 後で必ず習得する! 絶対だっ!


 とりあえず、【視覚】は動体視力を上げれるんだな。


 Bランクにしては攻撃が遅いと思ったけど、この効果のお陰なのか。


 書いてるスキル習得したら盾役として更に成長出来そうだな。



 次は──【痛覚】だ。


【痛覚】:痛みを調整出来る。練度が上がるとスキル『痛覚耐性』が習得出来、『感度操作』と重複可能。他にもスキル『打撃耐性』『斬耐性』『刺突耐性』など習得可能。



 耐性系スキルが多いな……【痛覚】は前よりも痛みを感じにくいと思ってたけど、スキル習得して重複してるからなのかもしれないな……。


 これはもう盾役として頑張れとお告げをされている気がするな!



 最後はちょっと怖いけど──【性感度】大先生の出番だ。



【性感度】:体が触れているだけで、気持ち良くなる。効果は『才能開花・促進』(認識した人のみ)『性行為無し限定・疲労回復』『女性限定:若返り・魅力増進』。練度を上げると特殊スキル『絶頂』(習得済み)『夜の帝王』など習得可能。


 ……おっふ。


 さすが──大先生。やばさ加減が半端ないです!


 とか完全にアウトだろ!? なんとなくわかってたけどさ!


 しかも『絶頂』スキル習得してるし!?


 あれか!? 昨日からなのか!?


 一応、『疲労回復』もある事から疲れが取れる事もわかった。


 それと肩揉みで気持ち良くなる理由もはっきりしたな……。


 この事は人に言って大丈夫なんだろうか?


 いや、【直感】先生が「やめておけ。心が死ぬぞ?」と言っている気がする……うん、これは僕だけが知ってればいいな!


 大先生を特筆するなら──


『才能開花・促進』だろう。


 才能とはスキルの事を指すのであれば僕はまだまだ強くなれるかもしれない。最強だって目指せる!


 どうやれば良いんだろう?


 人に効果があるとするのであれば、自分にも効果はあるはずだ。


 試しに【性感度】を3で自分に使用する。



 ──やっべぇ……これめちゃ気持ち良いわ……声出そう。


 この状態でスキルの習得条件満たせばいいのかな?


 って、気持ち良過ぎて行動不能だ!


 2に落としてみるとまだ行動が出来た。


 さっき【視覚】を使用したら『鑑定』スキルを習得出来るとあったな……。


 要はする事が重要なのかもしれない。


 しばらく、【視覚】を意識しながら自分を見て集中していると──


 多少時間はかかったもの『感度操作』のように文字が表示される。



 名前:ロイド


 性別:男


 一般スキル:『盾術Lv5』『危機察知』『気配察知Lv1』『痛覚耐性』『毒耐性』『威圧耐性』『回避』『予測』


 上位スキル:無し


 特殊スキル:『鑑定』『直感』『絶頂』


 ユニークスキル:『感度操作』



 ……ゲームみたいだな。


 でも、僕ってスキルけっこうあるんだな。ほとんど『感度操作』のお陰のような気がするけど。


『威圧耐性』は母さんの愛の賜物だろうな……今日Bランクの男に威圧使われたけど問題なかったし。攻撃が避けれていたのは『回避』と『予測』のお陰かな?


 それより気になるは──『毒耐性』? ……僕は毒でももられているのか?


 あと、『剣術』はやっぱり習得してないか……代わりに『盾術』がレベル5だ。


 いくら何でも成長し過ぎじゃないだろうか?


 これが才能の違いか?


 それに──


 これ絶対バレたくないな……『絶頂』とかバレたら僕は社会的に死ぬ。


 そうだっ! ラノベでも実力隠す為に『隠蔽』スキルとかあるじゃないか!


 まさしく、今僕に必須のスキルだ!


 なんとかして、今晩中に習得する!


 これは絶対だっ!


 善は急げだっ!


 大先生! 出番ですっ!


 僕を助けて下さい──


 それからはひたすら念じる──


 隠れろ、隠れろ、隠れろ、隠れろ──


 見えるな、見えるな、見えるな、見えるな──


 僕の尊厳の為に大先生──


 力を──



 ────


 ────────


 ────────────



 朝日が昇る頃に僕はなんとか『隠蔽』スキルを習得する事が出来た。


 なんか『隠蔽』スキルを習得する理由が違う気がするけど、結果オーライだ!


 安心して眠れる──


 僕は力尽きて意識を手放す。



 ◇◇◇



 僕は股間が冷たいの気付いて目を覚ます。


 この年でお漏らしとか泣きそうだ……母さんにバレる前に洗わないと……。


 でも、大先生の『疲労回復』効果のお陰で疲れは無いなっ!


 僕はパンツを脱ぐ。


 すると、ある事に気付く。


 これはじゃない──


 我が息子から出たアレだ──


 僕は大ダメージを受け、そのまま四つん這いになる。


 まさか寝てる間にするとは……。



 これは──



 だ。


 大先生を解除するのを忘れていたのが原因だろう……これからは寝る前に必ず解除しようと固く決意をする。


 僕はそそくさと洗い場にパンツを持っていく──


「あら、おはよう」


「母さん、おはよう! 急いでるからまた後でね──」


 僕はパンツをさっと隠す。


「待ちなさい。そんなに急いでどうしたの? それに隠した物を出しなさい」


「嫌だ!」


 母さんは僕が返事した瞬間に消える。


 拙い、これ──本気だ。


 今の【視覚】レベルじゃ、全く捉えられないんだけど!?



 来る──後ろだ!


 僕は前に移動する──


「甘いわっ!」


「えっ? マジか……」


 母さんの本気に僕は成す術がなかった。


 パンツは母さんの手の中だ。


 年貢の納め時か……む、無念……。


「──パンツ? この匂い……そう、そうなのね……」


 母さんはうんうんと頷いている。


「……」


「ロイ……ついに男になったのね?」


「はい……」


 この微妙な空気……心が痛い。


「今日はお祝いのパーティよ!」


「や、やめてぇぇぇっ!」


 シャーリーさんや、フィア達が何の為のパーティなのかバレたら僕の心が死ぬぅぅぅっ!


 確かに早く大人になって冒険者になりたいけど、これは違うんだぁぁぁっ!


 そして、その優しい笑顔をやめてくれぇぇぇっ!

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