第10話 パジャマ

 ある寒い日、夫が

「今日はこれにしよう」

と厚手のグレーのパジャマを選んだ。私はそういえばそんなパジャマもあったなとその様を見ていた。

「これは初めて君が自分で選んでくれたプレゼントだから好きなんだよね」

と夫は言った。

 我が家のプレゼントは基本的に指定制だ。しかしいつかの年のクリスマスはお互い勝手にプレゼントを選ぶことにした。その時に選んだものらしい。私は全く覚えていなかった。よくそんなことを覚えているなと思った。だが私もそのパジャマは好きだ。厚手なので抱きつくと柔らかくて心地よいのだ。

 私は厚手の生地をなでながらふふっと笑った。あたたかかった。

 

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