第48話 新スキルを試します!

 大型イベントを終え、各自のレベルを確認する三人。


「私は5、ツバメは6、メイも5つレベルが上がってるのね」

「これで198ですか……」

「上限がさらに上がりそうね。一般的にはトッププレイヤーでも90ちょっとなのに」


 現状のレベル上限は200だが、メイ一人のためにまた50ほど上がりそうだと予想するレン。


「【腕力】を30と【耐久】を20上げてみましたっ!」

「私は【知力】に50ね」

「少し迷いましたが、【敏捷】に50と【腕力】に10で振りました」


 各自の特性をさらに活かす割り振り。

 イベント終了後の各自のステータスは以下のようになっている。



【名前:メイ】

【クラス:野生児】


 Lv:198

 HP:14180/14180

 MP:329/329


 腕力:651(+47)

 耐久:522(+50)

 敏捷:438(+30)

 技量:399(+20)

 知力:10

 幸運:10


 武器:【王蜥蜴の剣】攻撃32

 防具:【白花の鎧】耐久30 腕力15

   :【白花のブーツ】耐久20 敏捷10

   :【猫耳・尻尾】敏捷20 技量20(【鹿角・尻尾】)

   :【召喚の指輪】


 スキル:【ソードバッシュ】【投石】【装備変更】

    :【ラビットジャンプ】【バンビステップ】【モンキークライム】【アクロバット】【四足歩行】【裸足の女神】(【突撃】)

    :【遠視】【聴覚向上】【嗅覚向上】【夜目】【雄たけび】

    :【自然の友達】【密林の巫女】

    :【クマ召喚】



【名前:聖城レン・ナイトメア】

【クラス:魔導師】


 Lv:59

 HP:1975/1975

 MP:669/669


 腕力:10(+8)

 耐久:10(+66)

 敏捷:111(+12)

 技量:103(+15)

 知力:396(+30)

 幸運:10(+1)


 武器:【銀閃の杖】攻撃8 知力15(【ワンド・オブ・ダークシャーマン】)

 防具:【夜空の冠】防御5 知力10

   :【夜空の黒衣】防御30 知力5

   :【夜空のブーツ】防御15 敏捷12

 装飾:【銀の腕】防御15 技量15

   :【真っ赤なリボン】防御1 幸運1


 スキル:【スタッフストライク】【吸魔】【浮遊】

    :【ファイアボルト】【フリーズボルト】【ファイアウォール】【ブリザード】

    :【フレアアロー】【フレアストライク】【フレアバースト】

    :【魔眼開放】【連続魔法Ⅲ】【魔力剣】【魔砲術】【コンセントレイトⅠ】

    :【クイックキャストⅠ】【クールタイム減少Ⅰ】【MP向上】



【名前:ツバメ】

【クラス:アサシン】


 Lv:45

 HP:2728/2728

 MP:90/90


 腕力:114(+45)(+38)

 耐久:10(+48)

 敏捷:253(+38)

 技量:73(+10)

 知力:10

 幸運:10


 武器:【ダインシュテル】攻撃45

   :【黒曜石のダガー】攻撃38

 防具:【ミスリルベスト】防御15 敏捷5

   :【紺碧のローブ】防御16 敏捷18

   :【疾風のブーツ】防御12 敏捷15

 装飾:【シルクグローブ】防御5 技量10


 スキル:【加速】【跳躍】【隠密】

    :【スラッシュ】【投擲】【電光石火】【アサシンピアス】【紫電】

    :【二刀流】【ダブルアタック】



「メイがもらった【鹿角】とか【召喚の指輪】は、ユニークアイテムみたいね」

「王蜥蜴の剣も、格好いいです」


 キング・ゴールデンリザード打倒によって手に入れたメイの新装備に、熱い視線を向けるツバメ。


「ツバメは武器が好きなの?」

「ワクワクしてしまいます」


 あまり感情を見せないツバメの目が、輝いている。


「装備品は武器から先に買うタイプね」


 ふふ、と笑うレンに「その通りです」とうなずくツバメ。


「【トカゲの尻尾切り】は任意で発動できるのね。結構いいじゃない。見た目がいいとテンションも上がるしね」


 イベントの成果報酬を終えた三人は、新スキルを試しにラフテリアの裏山へ足を踏み入れた。

 中でも特に気になっているのは、これだ。



【密林の巫女】:通常時、戦闘時のどちらにおいても植物が様々な形で助けてくれる。また一定の植物の成長を早めることができる。



「一定の植物の成長を早めることができるっていうのが、すごく気になるのよね」


 そう言ってレンは、インベントリから一粒の種を取り出した。


「この種を撒いておくと、しばらくすると実がなるの。これがステータスの一時上昇効果を持ってるんだけど……結構手間がかかるのよ」


 そう言ってレンは、メイの手に種を乗せた。


「撒いてみて」

「うん」


 言われた通り、受け取った種を地面に撒いてみる。

 三人並んで地面を見つめるも、変化なし。


「……『大きくなーれ』的なやつじゃないでしょうか」

「まあ、そうなるわよね」

「大きくなーれっ」


 すごく素直に、『大きくなーれ』と種に向かって言ってみるメイ。

 すると種から芽が出てすくすく育ち、あっという間に二つの実をならせた。


「い、いよいよ植物までもが、メイの味方になり始めるのね……」


 実は経過時間の問題で、成長のタイミングは『大きくなーれ』とは関係ない。

 とはいえ普通に撒けば、一日経たないと芽も出ない種の早すぎる実り。

 レンの苦笑いも、サマになってきていた。


「メイ、どうしたの?」


 そんな中、不意にメイの猫耳がピクリと動いた。


「うん、なんか慌ただしい音が聞こえて来るんだよ」

「これは、何か起こるわね」


 メイの一言で、レンとツバメも付近に注意を向ける。


「「きゃああああ!」」


 そこに駆けこんで来たのは、二人のプレイヤー少女。

 メイたちを見つけるや否や、絶望的な顔をする。

 そして二人は、メイたちに背を向け立ち止まった。


「どうしたんだろう」


 メイには状況がいまいち理解できない。


「強いモンスターに出会っちゃったから逃げてきたけど、私たちを見つけて戦うことにしたってところかしら」

「このまま逃げると、ボスはターゲットを変える可能性が高いのです」

「私たちにボスを押し付けてしまわないように、覚悟を決めて戦うことにした感じね」

「そうなんだ……それなら手伝おうよ!」


 当然のごとく、両拳を握って意気込むメイ。


「新スキルの練習台にちょうどいいわね……【コンセントレイト】」


 レンがさっそく新スキルを発動すると、その身に魔力光が収束し始める。


「【三段斬り!】」


 少女たちを追ってきたのは、先日のイベントで乗った大きなヒヨコの邪悪版のような姿をしていた。

 飛ばない大型の鳥といったところか。

 先行して剣士の少女が濃灰色の恐鳥に斬り掛かるが、ダメージはわずか。


「【フロストソーン】!」


 続く魔導士少女が放つ魔法。

 足元から突き上がる氷のいばらが、恐鳥に突き刺さった。

 それでもその足は止まらない。


「「きゃあああーっ!」」


 強烈な体当たりに少女二人が弾き飛ばされたのを見て、ツバメが動き出す。


「【加速】」


 早い動きで距離を詰める。


「【電光石火】」


 放つ早い斬り抜け。

【二刀流】による連撃が恐鳥のHPゲージを削り、そこからさらにダブルアタックの分が加算される。


「【二刀流】にもしっかり【ダブルアタック】が乗ってます」


 恐鳥は、飛び込んで来たツバメにターゲットを移した。

 効果を確認したツバメは、恐鳥の攻撃をかわして再度距離を詰めに行く。


「【アサシンピアス】」


 放つは得意の刺突スキル。

 姿を隠していない、敵に認識されている状態での威力は凡庸。


「……【ダブルアタック】は【アサシンピアス】にも効果がある」


 しかし、この事実を確認できたことが大きい。

 ダガーはどうしても武器としての攻撃力は低いため、ダメージを取れる時にしっかり取ることが重要だ。


「レンさん、いけますか?」

「ありがと。【コンセントレイト】はもう溜まってるわ」


 強気の笑みを見せるレン。

 このための時間を稼ぎつつ、先行して新スキルを試す。

 見事な手際で恐鳥を引き付けたツバメが、【跳躍】で距離を取った。


「さあいくわよ! 【連続魔法】【ファイアボルト】!」


【銀閃の杖】から放たれた三連続の初級魔法。

 恐鳥が大きく燃え上がった。

 その威力はしっかりと向上し、見た目にも炎の勢いが増しているのが分かる。


「いいわね。【コンセントレイト】の効果は【連続魔法】にも乗るみたい」


 二人の攻撃で、8割残っていた恐鳥のHPゲージは残り5割を切った。


「さて、最後のお楽しみね」

「はい」


 そう言ってほほ笑む二人。


「まかせてっ!」


 張り切るメイが、その手を「おーっ!」と突き上げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る