第137話 これは...

<ラムネ>『29...30!よし!終わり!』


一抜けをしたのはラムネだった。【15】の時点でもペースは安定していたのだが、後半はそれ以上のスピードを見せてシロとゆいを置き去りにして今、ゴールしたのだ。


<マネちゃん>『一番最初に上がったのはやはりラムネさんです!カウント的にシロさんが二番になりそうですね』


シロのカウントは【7】で、ゆいのカウントは【9】


シロは前半よりも失速しながらもゆっくりこなしているが、一方でゆいは途中で休みそうになってしまった為か完全にテンポを手放してしまったようだ。


<ゆ い>『あぁ...くっ、ふぅ』


上体をなんとか起こそうとするが中々力が入らず戻ってしまう。

もちろんしっかり上体が起こせていないのでカウントは減らない。


<マネちゃん>『あ、シロさん完走です』


すっかりゆいの様子に引き込まれていたマネちゃんはシロが30回腹筋を終わらせた事への反応が遅れた。


<シ ロ>『つかれた』


<ク ロ>『おつかれ』


短い言葉で労う二人。


<アイン>『ゆいちゃん!あと6回だよ!』


<ゆ い>『くぅ...』


<マネちゃん>『がんばれー!』


アインから残りの回数を聞いて希望が出てきたのかゆいの体に力が入る。


どこからか力を持ってきたわけではないので当然ゆいの呼吸はより荒くなっていった。


<ラムネ>『あと4回だからねー!頑張ってー!』


ラムネとアインを筆頭にみんなそれぞれゆいに応援の声を集める。


それはステージ上には留まらず、観客たちも声援をゆいに送った。


その回もあってか、ゆいのカウントはとうとう【1】になった。


<マネちゃん>『ラスト!』


<ゆ い>『く、くぅ〜』


無事にカウンターが消えて、ゆいは疲れた体をそのまま横になって休めた。


◇◇◇


ややあって、ゆいの体力が回復した後メンバー全員がステージ中央に集まった。


<マネちゃん>『さて、改めてラムネさん、シロさん、ゆいちゃんお疲れ様です!』


<ゆ い>『ほんとに疲れたよぉ』


<ラムネ>『最後までよく頑張りましたね、偉いです!』


<マネちゃん>『じゃあまた軽く感想を聞いていきますかね〜まずはラムネさん!』


<ラムネ>『はい、あんまり自信はなかったけど、一応先輩としての威厳は出せたかなって思います』


かなり真面目に感想を言ったラムネ。これもまた彼女らしさというものなのだろう。


<マネちゃん>『次はシロさん』


<シ ロ>『ラムネにつられて最初飛ばし過ぎましたね。自分のペースで出来たらもっとはやくに終わっていたと思います』


まるで試合終了後のインタビューのような回答をしたシロ。


<マネちゃん>『最後にゆいちゃん!』


<ゆ い>『スタミナ管理が全然出来てなくて最後かなりキツかったんだけど、みんなが応援してくれたから最後まで出来たよ!ありがとうー!』


両手を大きく振って観客たちにお礼をするゆいに彼らもペンライト等で返した。


<マネちゃん>『それじゃあ私たちからも一言いいですか?』


そう前置きしてマネちゃんたちはゆいに言った。


<アイン>『センシティブ!』

<マネちゃん>『えっちです』

<ラムネ>『可愛かったよ』

<ク ロ>『ちょっとセンシティブだったかな?』

<しゃちょー>『アーカイブに年齢制限をかけないでくれ』


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