第66話 二人目のスペシャルゲスト

<ゆ い>『な、なんかほんとに嵐みたいだったなぁ...』


ステージの真ん中でポツンと立っているボク。驚きはあったけど、そろそろ次の曲を歌おうかな?


<ゆ い>『それじゃあ、次の曲に行こっか!』


<ラムネ>『ちょっとまったぁ!』


<ゆ い>『まだいるの!?』


【コメント】

 :次はラムネちゃんか!

 :何歌うんだろ

 :歌姫登場!!


<ラムネ>『さっきステージの横で聞いてたけど、すごい上手になりましたね!』


<ゆ い>『そ、そうかな?』


<ラムネ>『先輩として誇りに思いますよ!しかーし!このままでは歌姫の称号をゆいちゃんに取られてしまうではありませんか!...まあ、別にゆいちゃんならいいんだけど』


 :おいw本音出てんぞ

 :確かに最初の歌枠よりも凄く上手になってるよね

 :素人の耳でもわかる


<ラムネ>『と、いうことで!私、星空ラムネと対決してもらいます!』


<ゆ い>『対決って言っても、どうするんですか??』


<ラムネ>『そんなの決まってるじゃないですか!ラップバト...』


意気揚々とラップバトルと言おうとしたラムネ先輩が止まる。それもそのはず、カンペに”やめて”と書いてあるのだ。


<ゆ い>『...ストップ出てますけど』


<ラムネ>『え、えーとなになに...”ラップはだめだけど、デュエットならOKです”』


 :ストップ掛かってるwww

 :決めてなかったんかいww

 :普通プログラム的なあれが組まれている気がするけど...

 :セカプロに予定表は無いのかwww


<ラムネ>『予定変更!デュエットで勝負です!』


<ゆ い>『が、頑張る!』


ちなみに、ラムネがぶっ込んだラップバトルは完全なるアドリブだ。


流れ始めた曲はかつて高校生でありながら大ヒット曲を数多く生み出したボカロPの最新曲。現代の学生に向けてのメッセージが込められており、昨今の時世の波にのまれている学生たちの心境が良く表現されているため、とても共感性が高い楽曲になっている。


このボカロPの特徴は全体的に高音で透き通るような爽快感を持つ楽曲を作っているため、しかし、聞いていて気分が良いから歌いたいけど、高音すぎて歌えないというジレンマがたまに起きたりするのだ。


 :すげぇ

 :原キーで歌ってるよあれ

 :ラムネは知ってたけど、ゆいちゃんもあの音域出るのかよ!

 :この曲は比較的に歌いやすい方だけど、それでも結構高いぞ



そして曲はラスサビに入る。現役の高校生であるゆいには感情移入しやすい曲だったこともあって今までの曲よりもゆいの想いが伝わる歌声だった。


<ラムネ>『負けた...』


<ゆ い>『ええ!?』


<ラムネ>『私にはあそこまでの想いを込められないわ...現役恐るべし』


 :ゆいちゃん現役だもんなぁ

 :等しく平等に起きてることだけど、青春の重みが違うや

 :他が違うとは言わないが一層熱く感じる想いがあったな


<ゆ い>『そ、そんなに褒めても何も起こらないからね!?』


その後軽く雑談をしてラムネはステージを後にした。



<ゆ い>『先輩が二人も来てくれたの嬉しかったなぁ〜ってまだ終わらないんだけどね!さて、次の曲に...』


ゆいが次に歌う曲のコールをしようとした時、ステージの照明が暗くなり、後ろにある巨大モニターに砂嵐が起きる。


<ゆ い>『え?え?何が起きてるの!?』


事前の打ち合わせだと、この後2曲ぐらい歌って告知をして終了ということを聞かされていたゆいは想定外の事態に驚きを隠せていない。


スタッフさんの方を見てみると、あっちもあっちであたふたしている様子。完全に予想外の事態なのかもしれない。


 :トラブル?

 :演出じゃね?

 :ゆいちゃんガチビビってるぞ

 :ちょい待ち!

 :なんか映ってね?

 :影?

 :人だ!

 :こわ

 :ガチめのホラー展開やめてくれ、、



砂嵐で覆われている巨大モニターに映る人のような影。


それは確かにそこに居た。

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