第28話 ラブコメかな?
数分後。
雅彦がJ・J、
航時がアキラ、
涼風がアレクシアを背負い、
亜美はいつも通り航時の武器を持って階段を下りてきた。
「涼風、あんたら負けたんだ」
倒れたままの眞子が首を持ち上げ涼風を見て、
「うん……京達、強い」
「もうすぐ医療班が来るからそれまでは待ってろ、まあお前は大丈夫そうだけどな」
J・Jを床に下ろす雅彦に、眞子は口を尖らせる。
「冗談じゃないわ、ヤセ我慢してるだけで今めっちゃ痛いんだからね、頭もガンガンするし絶対これ頭蓋骨にヒビ入ってるわよ」
「殺し合いなんだ、手加減なんかできるか、命拾っただけ喜べ、っで、やっぱ起きれないのか?」
「起きようと思えば起きれなくはないけど、おとなしく寝てる、あたしらこれからどうなんの?」
「怪我が治ったら箱舟の情報を吐いてもらって、聖騎士団に所属してもらう」
「人材確保ってわけ?」
「まあな、社長の強い希望でさ、なんだかんだ言って、俺らは絶滅寸前の存在だ。
できるだけ死なせずに武の存続に協力して欲しいらしい」
息を吐いて壁によりかかる雅彦の横顔に、眞子が見入る。
「あんた雰囲気変わった?」
「戦う時は気が昂ぶってるから少し口調が固くなるんだ、気になるか?」
「いーや、それと、聖騎士団、入ってあげるわよ」
「随分簡単だな、悪党退治はいいのか?」
「うん、そもそも悪党退治ってのはボスの意向で、あたしはマジ喧嘩して学費と生活費もらえるから箱舟に入ったようなもんだし、そりゃバカな連中はムカツクし、死んで当然て思ってるよ。だけどさ、ただ人間ボコるだけの人生なんてつまんないでしょ? やっぱ恋もしたいしねー」
言って、眞子の目がライオンのソレになる。
「えっ……どうしたお前……目がおかしいぞ」
気圧される雅彦をガン見して、次の瞬間、
「ちょっと涼風!!」
眞子が跳ね起きて、ずんずん近寄ってくる。
やせ我慢レベルの痛みはどこへ行ったのだろうか。
「なんであんた雅彦の服の裾握ってんのよ!?」
「……!」
見れば、いつのまにか涼風がまた雅彦の服の裾を握っていた。
眞子が殺気を剥き出しにして、涼風は袖から飛び出したアイスピックを握って構える。
「お前まだアイスピック持ってたのか!?」
拳を構える眞子とアイスピックを構える涼風が睨み合い、すぐに雅彦が二人の頭を軽く叩いた。
「怪我人はだまって寝てろ、武器は没収だ、涼風も残りのアイスピック全部出せ」
眞子は金属プレート入りのグローブを、涼風は両手のアイスピックを差し出してから、雅彦に言われると、なんとも素直に服やズボンの中のアイスピックを全部出して提出した。
「……お前アイスピック持ちすぎ」
呆れる雅彦、その肩を叩いて、航時がグッと親指を立てた。
鈍感な雅彦の頭上ではいくつもの疑問符が飛んだ
全ての事後処理を医療班と護衛の戦士達に任せて、雅彦達はようやくマンションに帰ってきた。
リビングのドアを開けて、
「麗華ちゃーん! 雅彦がさっそく愛人二人作ったぞー!」
開口一番に浮気発表をする航時を無言のままに殴り倒して、雅彦がリビングに入ると、その光景を疑った。
荒れ果てたリビングには聖騎士団の死体が三体、その中に麗華の姿はない。
「これは……」
後から入って来た航時と亜美も思わず顔をしかめた。
「おいおいなんだこりゃ……」
「ひどい……」
そこに、一本の電話のコールが鳴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます