第47話 ご褒美
地下四階を攻略した次の日
「いったたたたた……!」
朝起きたら体が痛くて仕方なかった。
二日間ダンジョンだというのに山登りさせられたのがやはり効いたようだ。
「これ完全に筋肉痛だ……!」
普段から鍛錬はしているはずなのに山登りはまた別なのだろうか。
今日はエミリアがグロッキー状態なのでダンジョンには行かないだろうし、今日一日動けなくても問題はないのだが…毎日やってる鍛錬もあるし少し動けるようになってから姉さんの部屋を訪ねた。
「姉さんいるー?」
僕は姉さんが泊まってる部屋をコンコンとノックした。
「え、レイくん?」
「うん、入るね」
そう言って僕はドアノブを手に掛け回して扉を開けた。
「ちょ、ま、待って!」
「え?……あ」
そこにはほぼ全裸のパンツだけ穿いた姉さんが居た。
今思えばちょっと油断し過ぎてた。
あまりに仲間と打ち解けられてたので相手が女性という点の気遣いを忘れていたのだと思う。特に姉さんに関して言えば普段から割とベタベタしていたのでその辺りの配慮をしてなかった。
「ほ、本当にごめんなさい!」
僕は上着だけ羽織った姉さんの前で正座をしている。
ちなみにここは姉さんの部屋で扉も閉めてるので周りには見えてない。
「レイくんはちょっと教育が足りないみたいですね!」
姉さんにしては珍しく怒っている。顔を赤らめながら僕は本気で説教されている。
「大体ねぇ! レイくんは最近ちょっとデリカシー足りないかな!
昨日だってエミリアちゃんのテントに上がり込んで夜這いしてたって話だし!」
夜這いなんてしてないししてたらデリカシーとかのレベルじゃないけど、
今反論すると説教が長くなりそうなので黙って聞いておく。
「聞いてるよ! 最近レベッカちゃんに二人きりの時だけお兄様なんて呼ばれてるんだよね!」
何でそれ知ってるの!?
確かにそう呼ばれて僕は喜んでたし、拒否とか一切しなかったけど!
「最近お姉ちゃんとは一緒に寝てくれないのに、
エミリアちゃんやレベッカちゃんとはよく一緒に寝てるんだよね!
そういうの良くないと思うな!」
エミリアと寝たのは昨日だけだし、色々誤解を生む言い方止めて!
というかお姉ちゃん興奮してるのか結構大声だから周りに聞こえてないかな、これ…。
「異世界に来たときはお姉ちゃんにべったりであんなに可愛かったのに、今ではこんな女ったらしになって……パパとママが泣いちゃうよ……!」
最初はどっちかというとまだ女神さまだった頃の姉さんの方がべったりだったような…。
というか話がどんどん逸れていってる気が…。
「大体ねぇ! レイくんは周りが可愛い子ばかりだからってデレデレし過ぎなの!」
まだ続くんだろうか…。正座で僕の姿勢が低くなってるから目立つのかもしれないけど、
今の姉さんはシャツだけ着ただけだからブラも付けてなくて胸の谷間が大きく開いてて、その……アレも少し透けてて……、一番やばいのは下半身は何もつけないからさっきからピンクの下着がずっと目に入ってて目の毒というか……話が入ってこない。
「レイくん聞いてる!?」「は、はい!」
その後一〇分くらい説教されてようやく解放された。
◆
「―――なるほど、それでお姉ちゃんの部屋に来たんだね」
「うん、頼めるかな」
説教されててすっかり忘れてたけど、筋肉痛を癒してもらうために来たんだった。
というか姉さん早く着替えてくれないだろうか、座っててもパンツが丸見えなんだけど…。
「でもね、なんでも魔法に頼ると良くないよ。
筋肉痛を超えたら体の繊維が作り変えられて頑丈になるんだから体が鍛えられてる証拠でもあるんだよ。魔法で癒したら無かったことになっちゃうかも」
そう言われるとなんかダメな気がしてきた。
「どうしても我慢出来ないなら筋肉をほぐしたりしたら少しはマシになるかもだけど…」
……駄目だ。姉さん薄着過ぎてどうしても話に集中できない。今は『姉さん』って呼んでるけど本来血の繋がりはないし、意識しないようにしても姉さんって凄く綺麗で可愛いし胸大きくて色っぽいから意識しないのが無理な話だ。そんなエッチな姿でいられると抑えられなくなる。
「―――て?」
「……え?」
しまった。考えてたら姉さんの話聞こえて無かった。
「だから、上着脱いでそこに寝て?」「え?」
言われたままに僕は服を脱いで姉さんのベッドで横になった。
「じゃあまずうつ伏せになってくれる?」「う、うん」
言われた通りにうつ伏せになったけど、いったい何をするんだろう…?
「うんしょ……っと!」
何をするかと思ったら、姉さんは僕の腕や肩を手で揉んでいる。
「…………」
姉さんの手が柔らかくて気持ちいいけど、くすぐったくて全然力が入ってないよ…。
「レイくん、固いね…大分凝ってるみたい……」
「う、うん……」
なんだろう、いけない気分になってくる。
「脚の方もマッサージしたいからズボンも脱がすね」「え!?」
ちょ、ちょっと待って…!今脱がされると膨張しかかってるのがバレる!
そんな僕の想いも届かずにあっさりズボンが脱がされてしまった。
その後、僕は股間を悟られないようにしながら姉さんのマッサージを受けるが…
やっぱり姉さんの力では全然解せないようだ。
「んー……お姉ちゃんじゃあんまり力無いから、レベッカちゃん呼んでこよっか?」
「え、そ、それは勘弁して!?」
今レベッカにこんな情けない姿を見せたくない……!
「そ、そう?……それなら――」
僕は何故かベッドの上で転がされてしまった。
「え!?」「お姉ちゃん力無いから上に乗っかった方良いかなって…」
そう言って姉さんは僕の上、具体的には僕の下腹部辺りにお尻を乗っけてきた。
「ね、姉さん!?」「ジッとしててね、体触るから…」
僕の下腹部の上に乗っかり体を僕の頭の方に寄せて腕や肩、それにお腹辺りを撫でまわす。
本人にとっては力強く揉んでるつもりなんだろうけど…くすぐったい。
というか姉さんは相変わらず薄着なままで、動くたびにシャツの胸元が揺れて隙間からアレが時々見え隠れしてて本当にヤバイ状態だ。下に至ってはずっとパンツ一枚のままだ。
「…………う……」「どうしたの?レイくん」
真っ赤になった顔を隠してるけど、姉さんの顔が近すぎて…。
この態勢、考えてみると、所謂『騎○○』ってやつなのでは……
とか、そんなことを考えてしまったのが僕の最大の失策だった。
「きゃっ!?………レ、レイくん……その……」
僕の下腹部のアレが膨張して、姉さんのパンツのソコの部分に食い込んでしまった。
「……んん…っ!」
姉さんは顔を真っ赤になって身じろぎして、僕は――――――
―――そのまま姉さんの部屋から追い出されてしまった。
その後直ぐに僕の服だけ廊下に置いてくれるだけ優しいと思う。
僕は人に気付かれないうちに服を持って自分の部屋に戻って着替えた。
◆
「………ふぅ」
トイレで用を済ませて冷静になった僕は、外に出ることにした。
あんなことがあったのに今姉さんと鉢合わせしたら顔を合わせられないので時間を潰すつもりだ。
姉さんのマッサージが効いたおかげか、体も少しだけ楽になった気がする。
そうして何か要りものは無いかと村をブラブラしていると――
「おにいさま……ではなくて、レイさまーーー」
後ろからレベッカの声が聞こえたので振り返ると、レベッカと――――
「えっと…カシムさん?」
以前に縁のあった冒険者のカシムが居た。
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