第586話 フロント恐怖する。

 シドニーのホテルにて

療養中のフロント皇女は、

地獄で旧地球時代からの記憶からふり返る、

前世の弟であり、

今のブリードル帝国皇帝リッパーの様子を

夢で見ていた。



 声が、届かない!


 リッパー!なぜ!


 どうもマルダス世界で、

前世の命がけで育ててくれた育ての親の

敵討ちをするために、自爆したらしい。


 そして、なんと大教皇サウザーもだった。


愛する人を殺したヤツに対する敵討ちらしい。



 大教皇サウザー

「心残りと言えば、

ワシが奴らにいいように

操られてしまったのもあるが、

それがなかったとしても、

オババと大オババなんて言われている娘を、

更生出来なかった事だ。


 もうすぐ、分身も崩れるだろう。


 迷惑をかけました。


 どうか、厳しい処分を受けさせて下さい。」



ブリードル帝国皇帝リッパー

「私もです。


皇帝に認知されなかったのに対して、

認めてもらうために、戦争に加担して、

前世からひどいことをしてきました。


今は、ブリードル帝国の国民が賢帝などと、

言ってくれますが、

所詮付け焼き刃の知識の産物。


いつ崩壊するやら。


ここが、引き際だと思っております。


これまでの罪は、わかっております。


どんな処分でも受けます。」




地獄の職員?

「そのことだが!


そのな〜。


実は、お前達死んでないのだわ。


生きている。


誰が助けたのかは、聴くなよ。



ここからは、オレの独り言だ!


リッパーの、あの前世姉のフロントが

魂の崩壊に直面しているのだが、


ある方の御慈悲により、

なんとか魂を治すために!

ねじれた、人の運命を直すために!


前世の、魂を強奪した為に

魂がつながっているフロント皇女と、

ギャランべーの結婚を

祝福することになった!


あの方が、ものすごく

フロント皇女のロクでもない、

策略の数々!


アフリカ大陸の

地下違法オーバーテクノロジーの産物を

隠していたとか、


マルダス世界の、

モンスター保護区を潰したとか、


また、世界征服を考えているとか、


そんな奸計に対する怒りを抑えて、

無理矢理にでも祝福することにされたのだ!



天界も、戦争よりは

祝福する方がいいかもしれないと、

前向きに考えておられる。



そんな時に、

身内たるお前たちが死んだら、

駄目だろう?


今のフロントの身体には、

数億年経っているから、

サウザーの娘の血も入っとるぞ!


つまり!死なすわけにはいかん!


そこで、


リッパーは、苦しくても国を立て直し、

普通の国に皇帝として更生させること!


サウザーは、苦しくても

あの二人の娘を、更生させること!


そして、フロント皇女の結婚を祝福すること!


わかったな!」











カバッ!



ハァハァハァハァハァハァハァ


フロント皇女

「夢ですか! 良かった。 


それにしても、なんて悪夢!


なぜ、私がギャランべーと

結婚決定路線なのですか!


私にも、人権があります!


私にも、選択する権利があるます!」




ガチャ!


「入るよ〜」


ハーノ(元聖カルッティ第1王女)が、部屋に入って来た。


「ホイ!ジュラート!


だいぶ熱が下がったけど、油断大敵だよ!」




フロント皇女

「変な、夢を見ましたの。」


ハーノ(元聖カルッティ第1王女)

「夢?」


フロント皇女は、地獄で取り調べを受ける、

リッパーとサウザーの事を喋り、


そして、

自分の魂が

他人の魂の一部を強奪して

作られたものであり、

限界を迎えており、

それを救済する目的で、

既にギャランべーとの結婚が

決まっているような事を喋っていたと、

いう悪夢を見たとハーノに、ボヤく!



ジーと見られる、フロント皇女。


ハーノ(元聖カルッティ第1王女)

「確かに、結婚の相が出ているわね。


大教皇に、聞いてみれば?」




ホテルの食堂で、

オーストラリアの政府関係者と会食する

サウザー!



流石大教皇!


優雅に振る舞う!


そして会食が終わったあと、聞いてみた。



大教皇サウザー

「あぁ、それ正夢かな?


いや、言うならば夢実況だな!


間違いなく、その夢のオレは、

オレの本体だ!


心配するな。


伴侶がいるというのも、悪くないぞ。


まぁ夫婦喧嘩も、夫婦生活の一つだ!」



フロント皇女

「ハイ?」


フロント皇女の

キャミソールの肩の紐がズレてしまっている。


ショックで全身の筋肉バランスが

崩れてしまった証拠なのだが…。



いつの間にか結婚することに、

なっていたフロント皇女!


フロント皇女

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」



その絶叫のさなか、

隣のホテルの会議室では、

女子高生組が、

フロント皇女の側近たちに対して、


フロント皇女に


1.死んでくれ!


2.生きてほしい!


の二択から始まる

選択式フロント皇女結婚の説得が、

始まっていた。






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