第70話 逃避行1


 メーンターク・ダンジョン郡のある宿の一室


 痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!


 ベットの上に、用が頭痛が痛すぎて悲壮な顔のまま動けない用がいた。


AI

「用様、痛み止めができましたよ。」

 実体化したAIがゆっくりと、スプーンで用の口に痛み止めポーションを流し込む。

 少しづつ痛みが引いてきたのか、用は眠りについた。

 AIは、バボン王宮内の情報を集める。

 あの屋敷に来た暗殺者達はホロン王国とバボン王国からの刺客と、判断するべきだろうか?

 用様が望まない事を強要する時点でこちらに対する、敵対者とみなすべきか?

 とりあえず、天界に報告書を提出すると、すぐに返答が来た。


 …………


 用様の頭痛は、ある一定のスキルレベルや肉体レベルに達せないと、収まらないタイプかもしれない。

 天界でも、苦痛耐性スキルを用意してはいたが過去のデータから、用様のタイプには効かないみたいだ。

 どちらかといえば、睡眠時間を多めに取るのがいいみたいである。

 ホロン王国の事は、当分放置してかまわないみたいだ。

 バボン王国の事だが、もう少しインパクト大きめの功績を持ってから、対応したほうが後が楽なのでは、と回答が来た。


 後、用の頭痛時の睡眠場所は、魔素が濃い所がいいみたいである。


……………………


 用が起きた。


 AIはゆみに、屋敷に帰るの予定を伸ばす事を知らせた。


 ゆみも、屋敷を監視されているのを探知しており、そのほうが良いと返答する。


 …………………


AI

「用様、と言う訳でダンジョン潜りましょう。」


「うん。確かにボス部屋の前で眠った時と、ここで寝たときとは、かなり違う。よくわかる。」


「AIさんに聞きたいのだけれども、まさかこの国の王族も、ヒャッハーなの?」


AI

「日頃は違います。間違いありません。

 あの時のホロン王国はモンスタースタンピードで異常状態でした。

 落ち着いた時に、また改めて観察してみては?」


「うーん(゜゜)わかった。頭痛がやわらぐまでのレベリングを、ダンジョンでするか!」


AI

「では、買い出しに行きましょう!買い占め買い占め!~」


………………


 水樽と、お酒樽に安売りのフルーツ類やパンなどを買い集めていると、冒険者ギルド職員と思われる者達が、尾行しているのがわかった。


 だんだんと、周りを囲って狭めていくつもりらしい。


AI「

友好的な、接触方法ではないですね。」


「うん。そうだね。では予定通りS級ダンジョンに逆誘導しますか。」


 ゆっくりと、目的のダンジョン口まで誘導する。

 S級ダンジョン口には、ほとんど人がいない。

 難易度とリスクを考えると、A級以上のダンジョンは旨味がないのだ。

 ダンジョン前で振り返ると、10人いた。


冒険者ギルド職員

「おい!止まれ! お前が…」


 「ふーん。やっぱりそう言う対応なんだ。

 雇い主に言っておけ、屋敷を襲った以上盗賊とみなして対応すると。」


 そう伝言して、ダンジョンに入った。


冒険者ギルド・マイークラー支部ギルドマスター

「まっ…間に合わなかった。

 お前達あれほど、言葉遣いと態度を気をつけろと行っただろうが!」


職員

「何言っているのですか、あんなガキに…」


 ベキ!ボキ!ボキ!


 ギルドマスターが、本気で職員を殴りつける。

 他の職員が、ギルドマスターを抑えようとするが、後から来たA級パーティーが職員達を止めた。


ギルドマスター

「えらいことになった。ギルド本部総長に報告しないと。」


ギルド職員

「なぐって置いて、報告だなんて…」


ギルドマスター

「お前は何年冒険者を見てきたのだ。

 A級パーティーも一目でわかったことだぞ! 

 あの商人は、いや冒険者はモンスタースタンピード70万を倒した、例の捜索対象者と同一人物だと王が判断された。

 それでなくても、SS級ダンジョン攻略する冒険者にケンカを売ったんだ。

 すぐに報告書作成して、魔導通信と特急鳩の用意をしろ!」


 ガタガタ 


ギルドマスター

「今更震えるより、報告の準備だ。」

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