2.辺境騎士団と偽りの騎士

小路つかさ

第1話 攻城戦

 トトン、カン。トントン、カン。

 よく晴れた、初夏の心地良い空に金槌の音が響く。

 私は、伝家の宝刀アインスクリンゲを抜き、空にかざし見る。西方で主流となっている両刃の直刀で、刀身はまずリカッソと呼ばれる刃の無い部分から始まり、精緻な彫り模様のある窪みを経て、スッと切先まで伸びている。つい今し方、研いだばかりのような美しい刃。魔法の力で鍛えられた古の剣は、魔法の力以外では傷ひとつ付けられない。その証拠に、推定二千年前の鋳造と言われている刃に、刃こぼれ一つ無かった。

 だから、魔法の武具はとても高値で売買される。

 だが、その真の価値は、単純に頑丈で切れ味が良い、というだけではない。

 力の強い魔剣には思念体が宿り、使用者に試練を与え、魔剣の所有者に相応しいかを判断する。更には精進を経て、神格化への道へと導く力が宿っている。つまり、人を神に至らしめる奇跡の神器なのだ。人が神になる。故に、西方世界の教えは、多種多様な神が乱立し、総称して“剣の信仰“と呼ばれていた。実際のところ、私の生きている間で新たな神が生まれたとうい噂は聞かない。神格化と言っても、やはり新たな神が生まれる、なんてことは容易なことではないようだ。私とて、そんな荒唐無稽な願いを抱いてはいない。

 それはそうと、今日は特別な日だ。ならばここで、自らの魔剣に必勝祈願などをしても可笑しくはないだろう。少なくとも、頭の中で祈るくらいは、やっても良いものじゃないか?私の家は、戦神を守護神に奉るのだから・・・。

 諦めて、剣を杖のようにして地面につく。

 どうも、私にはしっくり来なかった。人が造ったものが生む神に、元は人族だったという神に祈りを捧げる、という行為が子どもの頃から馴染めなかった。全長百五十センチメートルの大剣を、逆しまに構えると、剣術の基本動作を始める。幼少期より毎日、欠かさず行っている足運びと素振りの練習だ。やはり、剣は祈るよりも振る方が良い。目の前に迫る切先から身を守るのは、何処におわすかも知れない神ではなく、こういった日々の鍛錬の積み重ねによる技量なのだから。

 丹念に結ったはずの髪が数本、拘束から抜け出し、まるで自由を謳歌するかのように風になびく。脱走者の束を、籠手をはめたままの指先で耳元になで収めると、剣を納めて風上に視線を移す。

 のどかな平原風景だ。初夏の恵みを受けて成長を競い合う草花たちの中に、所々に白い岩が顔を覗かせている。木はまばらで、砕いた白い砂利を敷き詰めた1本の道が、大きな岩を避けるためゆるやかに蛇行しながら人々の住まう街へと伸びている。その道は古代、この地に移り住んだ先祖たちが舗装した道だという。

 その道すがら、街への侵入者を監視するかのように、高い防壁を持つ砦があった。

 なんて立派だろうか。草木のつるは何世代にもわたって砦の壁を我が領土として占領せんとした形跡だ。しかし、壁のどの部分にもそれと分かるような痛みは見受けられない。管理が行き届いてるから、というわけではない。住民たちによれば、長く放置されていたという。石材の種類は不明。この周辺は石灰を含んだ岩が多く、我らが西方諸国の先祖たちが築いたという城も街も街道も、雨に浸食されて今ではかつての栄華を見る影も無く、まるで湯を垂らした砂糖菓子のように風化した姿をさらしている。つまりは、この周辺の石材ではないということだ。どこか、他所から持ち込んだとすれば、とてつもない労力となる。誰が、どのようにして、このような堅固な砦を辺境の片隅に建てたのだろうか。不可思議ではあるが、しかし、私にはすでに、この答えには目星がついていた。

「嗚呼。砂糖菓子なんて思い出すものではなかった・・・」

 稽古の疲労と座学の退屈、そして孤独の他は、何不自由なく過ごして来た私にとって、その贅沢品の記憶は、つい一か月ほど前までの暮らしを鮮明に蘇らせた。

「おや、まぁ。血と脂が舞う戦場を前に、我らが姫君は砂糖菓子をご所望とは、なかなかどうして肝が据わったものです」

 凛とした自信と知性に満ちた声。紋章官を名乗るロロ=ノアが、笑顔で近づいて来ていた。この絶世の美女は、いつも正面から対峙してくる。美しさと穏やかな笑みで包まれてはいるが、私はそれを、彼女の率直さと不敵さの現れだと感じた。

 まるで男性が纏うような軍装をパキッと着こなした彼女は、若木ゆえに武骨な建築物の材料になる運命から逃れた木の幹に手をかけ、華麗なポージングで砦の様子を伺う。美しい羽飾りの野戦帽、たくさんの飾り紐がついた勇壮な軍服、ピッタリとした白いタイツ。そして乗馬用の長い軍靴を履いてる。武装は、精緻な細工が施されたバスケットヒルトが美しい、魔法のレイピア。そして、マップポーチとセットで防御用のポニャードを差している。沢山の三つ編みに纏めた金髪、瞳は夜明け前の空のような灰色。肌は水牛のチーズのように白く透明感があり、耳は細長く尖っていた。

 私の人生は、この一か月で大きく変化していた。剣術と学習の日々から一転、エルフ族の彼女と出会い、騎士たちを連れて戦いの旅に出ていた。

 一応のところ、まだ私は生きているが、先の見通しはまるで付いていない。

「アマーリエ」

 小声だが、慈愛を感じる心地よい声がロロの口から洩れた。気づかいながらも行動を促す、そんな声だと感じた。

 そうね。私は、ちゃんとやれる。そう、思わないと。今日の戦いに打ち勝てば、遠征後初めての城市を得る事になる。ここ辺境において数少ない、商業と産業の街。足掛かりとして、頼りになる拠点だ。

 ゆっくりと腰を上げた。全身甲冑とその可動部を補う薄手の鎖帷子が、いっせいに乾いた音を立て始める。傍から見れば、男装の麗人たる紋章官も人目を惹かずにおかない存在だが、白い髪の甲冑の少女というのもまた、奇異に映るかも知れない。旅で茶色く染みた、元々は純白の外套と、鈍く光る銀色の甲冑からのぞく、精緻なレース袖。古代の精巧による象牙色の両手剣。ロロ=ノアに劣らず、私も男勝りな出立だ。

 私は庶民では無い。その言葉の起源は、“優れた能力を持ち、周囲から敬意を払われる故に、人々の生命と財産を守り、地域に奉仕すべき存在“、私は貴族の一人娘として生まれた。数多の貴族たちの中でも、万難を退け万民の為に戦う高潔な血族を“青き血“の持ち主と称す。私はそれを目指すよう、物心ついた時から父に教育を授かった。

 だが、私の願いは貴族たちの中でも特に抜きん出る存在になる事でも、ましてや神になることでもない。私の願いは、報復だ。その為の辺境制覇を行っている。

 今日の戦いに敗れることがあれば、再起はないだろう。

 男装のエルフを従えて、甲冑姿の私は、歩きにくい白い砂利の道を進む。

やがて、工作に励む男たちの喧噪と、甲冑が重なり合う音、馬たちの嘶きが行き交う本営の中心に辿り着いた。柵の建築に励む男たちに、労いの言葉をかける。彼らは街から集ってきた有志の者たちだ。土木工事、大工、鍛治、馬の世話、調理など、様々な人々がその職能を提供して、私たちを下支えてくれている。私は努めて、彼らに声をかけるようにしている。彼らには戦う術こそ無いものの、軍事行動を実行できるのも、彼らの提供してくれる人工と兵站があればこそだ。逆に、それを失った“敵“の心境も自ずと察せようというものだ。

 敵が潜む砦からは、死角となる天蓋の入口に回ると、全身甲冑を着こんだ逞しい男たちが、身を寄せるようにして集っていた。

 そこにいるのは、見張り櫓からこっそり抜けてきた者たち、総勢十二名。皆、装飾は異なるが立派な甲冑を纏った騎士たちだ。そして、この者たちが今回投入できる戦力のほぼ全て。騎士たちは簡易の武装をさせた従者を各々、一人から二人程度を伴っている。彼らには、それぞれの主の世話焼きと、馬や武具、そして持参してきている財産の管理という大切な仕事がある。いわば後方支援であり、騎士たちが万全の体制で本領を発揮できるように下支えるのが従者の役割であった。しかし、今回ばかりはそんな彼らにも別の仕事をしてもらう事になる。

「五つの櫓には、騎士五名、従者二十五名を残してあります。彼らが敵の目を引きつけているうちに、我らで砦内部まで突入します」

 エルフの麗人は、一同に向かって告げる。騎士たちは、互いに顔を見やって狼狽した。

 敵の数は、純戦闘員だけでも百人はいると予想していた。

「紋章官殿、ここは、全戦力で突入すべきでは?これほどの少数では、流石に脇が甘くなるぞ」

「偵察に出た砂堀りたちを待つべきだ」

「実際、穴の先に何があるのか解らんのだろ?不確定要素がある時は、全力を投入すべきだ」

騎士たちの異論は、もっともだ。今回は単に、敵に向って突入するのではなく、未知の危険に立ち向かうことになる。慎重にあたらねばならない。

 しかし、ロロ=ノアはいつもと変わらぬ涼し気な表情で、私に目線を送ってきた。

 そうね。彼らは、指針を求めている。

大きく息を吸い込み、努めて低い声で私は話した。

「十四日かけて包囲陣地を築いたけれど、人数不足で完全に敵を封じ込めてはいません。幾度も間隙をつかれ街への略奪を許しているのが現状です。そして今、築いている攻城兵器の完成を待ったとしても、この砦は落とせないでしょう。断じて言いますが、この一か月間の幾多もの戦い、その全てに勝利して来た貴方たちの力を今さら疑うわけではありません。私の憂うところは、この砦は人が築いたものではない、という一事に尽きます。街の長老方からの話、そして何より、私の剣がそう告げている以上、あの砦は正攻法では落とせない代物なのです。しかし、扉の出現はこの機においてまさに、天祐。砦からの招待状とみて間違いありません」

 私は天蓋の入口を開いた。砦からは見えぬよう、その反対側に設けた入口。その中は異様な光景だった。一軍の将が拠点とするにふさわしい立派な銅の机や、予備の武具や軍資金となる宝物、快適に過ごすための毛皮の敷物はおろか、身を休める寝台すらもないその内部は、うずたかく積み上げられた土くれで満ちていた。最早、ここだけでは収まらない為に、夜な夜なこっそりと外に運び出している。そして、その中央に人がひとり、やっと通れる程度の穴があり、一本の梯子が設けられていた。

 大丈夫。皆の言葉は問題定義であり、心の内では作戦の指針に賛同しているはず。 そう思おう。でなければ、決意が鈍る。

 突入の号令を出すため、私は大きく息を吸い込んだ。

 その時、天蓋を開いて従者のひとりが入り込んで叫んだ。

「報告!敵兵二十ほどが包囲を破って、街に向かったそうです!」

 出鼻を挫かれるとは、このことだ。作戦参謀のロロをはじめ、騎士たちが首を振って落胆する。敵の目的は、略奪による補給だ。自分たちに味方をしなかった街の住民に対し、腹いせに乱暴も働くだろう。敵の人数は少ないが、街に侵入されてしまえば、こちらもそれなりの数を当てなければ対応は困難となる。突入を延期するか?・・・それとも。

「騎士七名を残し、五名は撃退に向かいなさい」

「決行するのですね?」

 ロロが念押しをする。その目は否定していない。この場合、騎士たちの心の代弁者という役割を買って出たのか。

「それなりの対応を見せれば、マンフリードに気づかれることはないでしょう。そして、今彼らの心は補給の成否に向いているはず。タイミングとしては、今が最適です」

 口早に人選を告げて、五人の騎士を迎撃に向かわせた。守りに付いている従者は補助兵として、主人以外の騎士の命にも従うよう指示してある。包囲網の役に付いている従者を数人ずつ連れ出せば、二十名規模の捜索・殲滅部隊となるはずだ。果たして、この選択は正解なのか。ロロは何も口を挟まず、残る七名の騎士たちを整列させた。

「最も困難な道を行く勇者にこそ、魔剣は加護を授けます!我ら剣の子らにして、武の道に死する騎士たちよ!何をもって魔剣の迷宮を恐れようぞ!それ、突入開始!」

 そう言い放つと、従者から松明を受け取り、ひとりでさっさと梯子を下り始めた。中盤の下りは、西方でよく使われるテンプレートだが、何を隠そう魔剣所有者たる私が言えば、それとなく聞こえてしまうものだ。ちなみに、先に話した魔剣の言葉というのは、はったりだった。

「では、お先に」

 丁重に挨拶をして、ロロも後に続く。

 いささか白けた雰囲気の騎士たちの中で、背の高い若手の騎士が両手を広げて、まるで独り言だというかのようにつぶやく。

「檄の気迫はまだまだだが、突撃は嫌いじゃないな」

 騎士たちから軽い笑いが起こる中、ひときわ均整の取れた体躯を機敏に翻して、梯子を下っていった。

「それ、はいらんかったな」

「あぁ、俺も思った」

「台無しだな」

 う・・・聞こえるように言っているな。

「姫に続かんわけにはいかんだろう」

「まぁ、どのみち危険に飛び込むのが我らの性ってやつだな」

「どいつもこいつも、突撃馬鹿ばかりだて、長生きできんな」

 口々に言い訳がましくつぶやきながら、全員が後に続く。

「今、気づいたんだが、大剣じゃなく小ぶりの槌にすればよかった。こんなところで振り回せば、お前らを皆、サラミにしちまうぞ」

「くだらん事を抜かすなら、いっそのこと鍬に持ち替えてこの穴を広げてくれ。そうすれば、俺は悠々と馬で行軍できるものを」

 甲冑をガシャガシャと鳴らしながら、男たちはまるで少年時代の洞窟探検でも思い出したかのようなはしゃぎぶりだった。この先に待っている百人の敵など、まるで恐れてもいないかの如くに。

 頭上から続いて降りてくる男たちの気概には、ほとほと呆れていた。慎重に進むシーンなのでは?と問いただしたい心境だった。だが、それも不安の裏返しなのかも知れない。彼らの忠信には、いぶかしむ余地はない。彼ら騎士の忠誠とは、私を助けたいという単純な誠意なのではないか、という思いに行き着く。さっきもそうだ。咄嗟に問題点を列挙し、批判的ともとれる言葉が矢継ぎ早に出てくるが、しかし、それは真剣に頭を巡らせた提案であり、彼らなりの“助言“なのだ。もとより私の意見に対し”大方は賛成“という腹づもりがすでにできているように思えてならない。

 これを理解したのは、最近の事だ。それまでは、ひどく心を病んだ。父なら、ああいう物言いはしなかった。教えは厳しかったけれど、いつも私が理解するのを待ってくれた。私の心を察してくれていた。つい最近まで、ひどく憎んだりもしたものだが、今のこの境遇にあって、父の偉大さが痛いほど分かる・・・。

 いかん。急に胸の奥の方で、急に熱くなるものを感じて、かぶりを振った。今は、昔の事を振り返る時じゃない。考えない、考えない。

 松明の心もとない灯りに照らされながら、梯子を降りてくるエルフの姿が視界に入る。彼女は、やはり根は女性であるためか、頭から批判的な物言いはしない。でも、そこも少し違うような気がする。どこかこう、わざと言葉少なげにして、様子を眺めているような・・・いや、そんな事を思うのは不義理であろうか。貴族たちの憶えもよろしく、自身曰く、高収入な職能を会得している紋章官であるにも関わらず、借金だけは諸侯に負けないほど積み上げた私に着いて来てくれているのだ。彼女の大海の如く、枯れることのない知恵と的確な助言が無ければ、今の私は無い。剣の腕にだけ長けた、渡世術など微塵も知らぬ、ただの大きな“子ども“のままであったろう。そう思うと、今の自分の境遇がまるで作り話の一節であるかのように思えてならない。本当に、今の私は現実の私なのだろうか?年端もいかぬ小娘が、大人の騎士たちを従えて遠征を行っている。我ながら、不思議なものだ。世の中の王侯たちは、一体どんな感覚なのだろうと思う。どれだけ、現状と未来を把握して、計画的に政治・軍事を進めているだろう。私はいつになったら、こんな水の流れる方向に沿って、笹の小舟を浮かべているような気持ちから抜け出せる?


 せまく冷たい湿気に満ちた縦穴は、不意に終わりを迎えた。梯子を降りきると、ひどく小さな横穴があった。穴熊というのは見たことはないが、ここはそういう類の巣穴を思わせた。騎士たちは降りるスペースがない為、梯子に連なったまま、下の様子を覗き見るしかない。

「おーい。梯子が重みで折れそうだ」

 呑気そうな声が聞こえてくるが、確かにそれほど頑丈な梯子ではない。鉄の塊と化した男どもが、熟れきったオリーブのように降って来られても困る。

「横穴から戻る足跡はひとり分のみです。報告に戻った砂堀り一人分、まだ他の者はこの先にいる事になりますね」

 ロロ=ノアが足跡を調べて報告する。

 いやはや、ゆらめく松明の明かりだけで、本当に見えているのだろうか・・・。まぁ、信じる以外は無いのだが。

 穴は狭く、中腰でも潜ることは出来なかった。仕方が無いので、松明を持ちながら両手を着いた。

「昔、遊んだ狼ごっこね。誇り高き騎士たちよ、私を真似て、四つん這いになるのよ」

「昔、育てられた、の間違えでは?」

 騎士クルトがそう戯けると、騎士たちは大いにうけた。彼は、一番先に梯子を降りた若い騎士だ。穴熊はプライドを傷つけるだろうと、“格好の良い“動物に例えたつもりだったが、逆手に取られた。もっとも、誰も私の事を“狼“などと猛々しい印象は抱いていまい。クルトはいわば、新参だ。彼なりに、全体のムードに気を遣っているのかも知れない。

「他の砂堀りたちの安否も気になります。さぁ、先を急ぎましょう」

 甲冑を来た私たちは、狼というよりも猪といった風体で、土塊に穿たれた横穴を進む。

 先頭は、私だ。これは他ならない、『私の道』なのだから。

 松明を持ちながら這って進むので、先をろくに照らすことも出来ない。煙が喉と目を襲い、炎が髪を焼こうと舌を伸ばす。こんな道を甲冑を着たまま進もうとしたのは失敗したか、という後悔。この先で待ち受けているであろう、困難にまだ出会ってもいない内から。そして、他の騎士たちを危険に巻き込んでいるという、自分の行いへの逡巡。澱んだ空気と、煙による息苦しさ。そして、先の見えぬ暗闇。

 こんな感情を、私は以前にも感じた。

 それは二週間ほど前、ちょうどこんな暗がりと湿気に満ちた、不気味な地下空間での出来事だった。

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