15日目

 みなさんはサンタさんをいつまで信じていましたか?

 僕は小学一年生のときです。当時の僕はサンタさんはいるに決まってるし、欲しいものは何でも届けてくれると思ってました。なのでクリスマスの三日前から、メッセージカードに当時欲しかったもの(確かドラえもんのゲームだった)を書いて楽しみに待ってました。

 そしてクリスマスイブの日、家族でどこかで遊んだ帰り道。高速道路の道の駅で、両親がトイレに行ったときのことです。車の中で手持ち無沙汰な僕は車の中を探索しました。子どものときは車でさえ未知なものに溢れていたからです。ダッシュボードを開けて、シートベルトを体に巻きつけたりしていると、後部座席の後ろに空間があるのに気づきました。両親がいつも後ろの扉を開けて、荷物を載せている光景が蘇りました。後部座席という名の山を登りそこにたどり着くと、他の荷物と共に見慣れない茶色の紙袋がありました。それを恐る恐る覗くと、欲しかったゲームがありました。両親が戻ってくると、僕は何事もなかったかのように後部座席に座って、眠りました。子どもながらに、何かを察したのです。

 こうして僕の中のサンタさんは消えて、その代わりにサンタさんのふりをする両親が生まれました。結局小学四年生まで、サンタさんがいるていで僕はメッセージカードを書き、親は僕が寝ている間に枕元にプレゼントを置きました。

 そのときのことは、まだ両親に言ってません。言わなくてもいいような気がするからです。それに今日も、クリスマスプレゼントを届けてくれるのはサンタさんではなく両親なのです。わざわざ病室まで持ってきてくれたプレゼントを、僕は手で受け取りました。

 ありがとう、と言うと嬉しそうに二人は笑いました。メリークリスマス、です。

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