δ 来日
日本。それは聖霊生誕の地。
そこでならミーの望むものが手に入るかもしれない。いや、確実だ。
ミーとこの、神から授かった
そう。力さえあればなんでも出来る。
あれから世の中の常識がどんどん変わっていった。お金がなければほとんどなにも出来なかったがもうその時代も終わった。
「それで、結局日本へは行くのか?」
「もちろんだよ。行かなきゃいけない。ミーこそね」
そうゲイブに告げると、彼はすぐに出発の準備に取りかかった。
彼はテレポートの
「それじゃ行くぞ」
三人で紙の上に乗った。すると白い光に包まれる。たぶんきっと二秒後には日本だろう。
「守るか、守られるか。好きな方を選びたまえ」
守るか、守られるか、か。
どっちにしても僕には選べない。守るほどの力もないし守られるにしたって労働は嫌だ。
「なるほど、君はそういう人か」
「......っ!」
突如として男の表情が変わった。さっきまでの飄々とした雰囲気はなくなり、わずかながら敵意が見える。
「2つ、教えよう。僕に憑いている聖霊は心を読んでくれる。そして君はもうここから逃がさない」
僕は出口に向かって走り出した。さっきの下半身が露出しかけた男の力も使った。
だが少しも進まない。まるでエスカレータを逆向きに進んでいるように、走っても走っても身体か前に行かないのだ。
「図書館を拠点にするぐらいなんだから、それに応じた力を持っているとも考えないのかね?」
「考えたくもないね。出られない、なんてことは。力ずくでも出てやる」
そう宣言して、僕はウィズに身体の操作権を渡す。
「めんどくさいヤツがいるのか、ここには。ワレ働きたくないぞ......」
頼むよ。もしやっくれたら、ここにある本全部読んでいいから。
「そ、それならやってやらなくもないんだぞ」
よし、これでなんとかなる......はず。
「あなたを殺すつもりはないんですよ。でもうっかりしたら死んでしまうかもしれませんね」
これも別の人の力なのか、見えないほどの速さで殴りかかってきた。これを《僕》は左に動いて避けた。かに思えたが、避けた分足元が動いて拳に当たってしまった。
「くぅ~......痛いのだぞお前!痣になったらどうしてくれるんだ!!」
想像以上に、床を動かす能力持ちは厄介みたいだ。そっちを先に片付けようにも、目の前の敵がさせてくれないだろう。
卑怯だ。全くもって卑怯だ。2対1なんて。
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