第22話帰りの汽車


「なんでそんなに不機嫌なんですかロイ様」


「別に不機嫌じゃありません」


(不機嫌じゃん)


さっきから目を合わせてくれないロイ、さっきからこの調子、ちょうどルーガスの見送りの後からだ。


(やっぱりイヴさんってモテるのか、交渉が思ったより大変だったからイヴさんとも距離を縮めるどころじゃなかったし、それにしてもたった数日で悪い虫が寄ってくるなんて……)


「い、イヴさんは貴族の娘なのですから気安く男に触れるのは控えたほうがよろしいかと、ペンドラゴン家の品位をーーー」


「ーーーああ、なるほど」


「分かって頂けまーーー」


「ーーーロイ様もルーガスに触りたかったのか」


「はい?」


「男って結構シャイな人が多いんだな、いや毛っ構か、自分が触れなかったからって、まぁ確かに獣人の毛はもう見るだけで触ったら気持ち良いんだろうなってわかるからな~」


「…………」


「もう、しょうがないですね、今度会った時にロイ様も触らさせてもらえるように私が頼んであげますから機嫌を直してーーーー」


「ーーーち・が・い・ま・す!!!」


「え?違うんですか?」


私だけがルーガスのモフモフを堪能して、脳みそをとろけさせてたから、ロイが嫉妬してると思い、慰めるように話しかける、しかし、どうやら不機嫌の理由は違うようだ。


「もしかして好きなんですか?」


「ーーーーななっッッッっ、何を言ってるんですかッッッ!!!、な、なんの証拠があってッッッッ!!!」


「わ、わかりやすい」


(ーーーし、しまったバレてしまったッッッ!!!け、けど、このままタイミングを図るばかりじゃ関係は進展しない、だったら覚悟を決めていこう!!!)


「じ、実は僕は貴女のーーー」


「ーーールーガスが好きなんですね」


「へ?」


勘が良すぎる自分が怖い、あの慌てようからして核心をついてしまっているだろう。


「大丈夫です、BLが嫌いな女はいません、私、そういうのに偏見ありませんから、他国の王子と王族の護衛の人狼族の男、許されざる禁断の恋、応援します!」


「………」


「当然ルーガスの方がヘタレ受けって感じで、ロイ様が鬼畜攻めなんですよね?」


「それも違います」


「え?これも違うんですか?」


どうやらこれも違うらしい、じゃあ一体なぜ、謎が深まるばかりだ。


(危うく勘違いで告白するところでしたよ)



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