第24話 遊園地行こうぜ
「じゃーん。この二枚のチケット、何だと思う?」
角のとがったデビルの少女が言った。
「地獄への片道キップ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「んー、どうした? 何か、殺伐とした時代が舞台の本でも読んだのか?」
「テメーにくれてやるよ、この「地獄への片道キップ」をな」
「めっちゃ、影響されてるじゃん。何それ? 主人公の決め台詞とか?」
「いや、最序盤で蹴散らされるザコキャラの台詞」
「ダセぇ! そいつダサすぎだろ。そんな大層な台詞吐いて退場すんのかよ」
「いや、そのあとに仲間になるから」
「マジかよ……まあ、戦力にならずともコメディー枠には収まれそうだが」
「いやいや、舐めちゃいけないわよ。そいつの修行編あるから」
「明らかに作者が気に入っちゃってんじゃん! 大丈夫かよその作品?」
「いやもう、後戻りできない酷さよ」
「何でそんなの読んでんだよ?」
「いやいや、その酷さが愛おしいのよ。不完全ゆえの美しさ的な」
「まあ、そういう人種がいるのはなんとなく承知してはいたが、アタシはどうも共感できんな」
「共感は別にしなくてもいいけど、それよりチケットの話忘れてない?」
「あ、ホントだ。もう、お前との会話はいつもこうだな」
「そうね。様式美ね」
「そんな綺麗なもんではないだろ。と、そうだこのチケットだよ。こいつは地獄行きのキップなんかじゃねぇよ」
「どうせ遊園地でしょ」
「どうせって言うなよ。いや、遊園地なのは当たってるけどさ」
「まあいいわよ、一緒に行ってあげても」
「ホントか!」
「ええ、あんたのペットとね」
「そっちかよ!」
二人は喫茶店をあとにした。
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