第20話 新しい靴をさ
「いやー、買っちゃったわ。ついによ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「え? 土地?」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「上げてくねぇ。上げてくね、ハードルを。上げすぎじゃね? もう飛び越えるんじゃなくて、リンボーダンス用のレベルの高さになっちゃってんじゃんよ」
「まあ、無理でしょうね。あんたじゃ」
「何だその言い方はぁ。確かにご期待に添えず、買ったのは土地ではないけどさ」
「いや、そっちじゃなくてリンボーダンス。あんたの体、人外と思えないくらい固いじゃない」
「そっちかよ! つか、そっちは触れなくていいんだよ! 只の例えジョークなんだから」
「マジで? めっちゃスベってたわね」
「うるせぇうるせぇ! 皆まで言うな、そんな抜き身のナイフみたいな言葉を」
「おっ、今のもスベりジョークかしら? すごいわね、スベり倒すわね。まるで名スキーヤーね」
「お前も言ってんじゃねぇよ! というか脱線しすぎだろ! アタシがあるものも買ったって話だ!」
「そうやってもったいぶるから、どんどん脱線してくのよ。人生は急行列車。ぼやぼやしてると乗り遅れるわよ」
「なんの話だ、まったく。とにかくアタシが買ったものは……」
「靴」
「あっ! 当てやがったな! 散々引きずり回しといて当てやがったよ!」
「やったぁ、嬉しー。景品は?」
「んなもんあるか!」
二人は喫茶店をあとにした。
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