第10話 肩が重くてな
「最近どうも肩が重くてな」
角のとがったデビルの少女が言った。
「それ絶対、悪霊憑いてるでしょ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「はぁ? なんで悪霊? しかもかなり言いきった感じだし」
「いやだって、それしかないじゃないもう……そういう奴はその……あれだからさ」
「フワフワしすぎだろ! 無重力かよ! お前の方が悪霊より浮いてるぞ」
「悪霊のことを悪く言うんじゃないわよ。確かに回りとくらべたらちょっと変わった奴だけど、意外と気さくでいい奴よ?」
「そっちの浮いてるじゃねぇよ! お前は悪霊の何なんだよ?」
「幼なじみ」
「恋の予感」
「飛躍し過ぎでしょ。恋愛小説の読みすぎよ」
「読んでねぇよ。なんだよ幼なじみって、意味わからんわ」
「悪霊憑いてるあんたに言われたくないわよ」
「悪霊憑いてるは関係ないだろ。ていうか憑いてねぇから」
「何でそんな事分かるのよ?」
「非科学的だから」
「オカルトは君の日常を覆す!」
「何のキャッチコピー? 覆さねぇよ、させねぇよ」
「あら、強気なのね」
「気だけは強く持とうと思っている」
「それはそれで軟弱ね」
「うるせぇよ。とにかく、アタシにそんなものは憑いてないぞ」
「そう。まあ、私には憑いているけどね」
「え? マジで?」
「いや嘘だけど」
「何なんだよ! 悪霊よりタチ悪いわ!」
二人は喫茶店をあとにした。
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