夢遊病

うつらうつら、空っぽの頭で僕は歩く。


貧血気味の月に見下ろされ、


ここは何処だ。街角か?


今しがた強盗を終えたばかりの鸚鵡と、


スマホ依存症で眠れなくなった梟が、


メチルアルコールの瓶を回し飲みしている。


けたたましく愛を歌う室外機。


呂律が回らなくなるほど酔った街宣車。


うつ病の自動販売機が、


過食気味の看板に殴られ泣いている。


うつらうつら、空っぽの頭で僕は歩く。


この夢を詰め替えてくれる、


素敵なパティシエを探している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る