解体病

僕は時計を分解する。


時間の正体を知りたいから。


僕はテレビを分解する。


世界の真実が知りたいから。


僕は冷蔵庫を分解する。


母の愛情の賞味期限を知りたいから。


僕は洗濯機を分解する。


明日着ていく服の鮮度を知りたいから。


僕は僕を分解する。


今日まで吐いた嘘の湿度を知りたいから。


そうして残った僕の、


ばらばらになった僕の、


本当の値段を知りたいから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る