Film 18. 『今日もまたクリスマス・イヴ』☆

(☆マークはクリスマス映画!🎁)


 2020年のブラジル映画(ネトフリオリジナル)。1時間41分。

 クリスマス・イヴにしか目覚めなくなった男の数奇なドラマチックコメディ。


 二児の父親・ホルヘは誕生日が12月24日でクリスマスが大嫌い。2020年のイヴもウンザリしていたホルヘは、馬の合わない親戚たちに晩餐の席で思わず暴言を吐いてしまう。

 妻のとりなしで渋々サンタの真似をして場を和ませることにしたものの、今度はうっかり屋根から落ちたホルヘ。気を失い、次に目覚めたのは……2021年のクリスマス・イヴ!?


 まさかの南半球クリスマス! 半袖!!

 なぜかループものとして紹介されてたりする本作ですが、同じ日が繰り返すのではなく、目が覚める度に「翌年の同日」が来ているという珍しいギミック。しいて言えば、精神タイムリープに近いです(北村薫の『スキップ』を思い出します)。

 もちろん、前年の12月25日から翌年の12月23日までの時間にも「自分」は存在し、生活し、歳も取っていきます。しかし、その時間のことは思い出せません。思い出せるのは12月24日のことだけ。


 これ、ちょっと怖いですよね?

 表面的にはばっちりコメディなのですが、1年のうちの364日は自分の知らない自分が体を動かして、その間に何をしたかはわからないのです。自分のことだけでなく、周りでなにが起きたかも364日分わからない。自分にとっては数日前のことが数年前だと言われてしまう。

 しかも大変残念なことに、主人公はひねくれ者のお調子者、低俗で現金で無責任なごく普通の男なんですね。それも歳を取ると悪い部分ばかり目立ってくるタイプ。昨日まで愛し合ってたはずの妻と、目が覚めたら破局しかかってたり、もう愛人と寝てたりするわけです。


 そんな364日分の負債を毎年1日でなんとかしようと奮闘するドタバタコメディ。なのですが、実はこれがまた、泣かせる物語でもあるのです。そして本当によくできた「クリスマスの意味を知る」ための物語。


 ネトフリでしか観られないのでさえなければ、明日のイヴに紹介したかったぐらい。そんな掘り出し物の一本です!


 それではメリークリスマス! 明日はいよいよイヴですね!

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