Film 2. 『ホルテンさんのはじめての冒険』

 2007年のノルウェー映画。1時間26分。

 生真面目に生きてきた人の、第二の人生を彩る“冒険”譚。


 鉄道運転士のホルテンさんは勤続40年。勤勉を絵に描いたような人生で初めての大遅刻は、定年を迎える最後の勤務日その朝!


 あまりのショックに動転し、人生初の無断欠勤までやらかすホルテンさん。そのまま自動的に第二の人生へ突入!

 失意と共に放り出されたホルテンさんは、とりあえず先延ばしにしてきたことを気まぐれに片付け始めます。が、それをきっかけに、今までの人生からは思いがけないような出来事となぜか次々と出逢うようになっていきます――


 2日目にして隠し玉と言っても過言ではありません。個人的に昔から大好きな作品!

 クリスマス映画ではありませんが、雪化粧をしたノルウェーの街はまさにサンタの国! 特に時間の大半を占める夜景は暖色の灯りに彩られ、時折現れる古いお店やアパートのおしゃれなこと! ゆったり進む物語も手伝って、暖炉のそばでのんびり観ているような気分になれます。


 そして主人公のホルテンさんが手に入れるのは、どこからともなく届いたとも言える、小さな“おくりもの”の数々。


 この物語に目的はありません。大きな事件も起こりません。

 母親と同じ名前の大事なヨットを手放すと決めたのを機に、少し変わったトラブルや、これまで縁遠かった物事、出逢うはずのなかったような人々にただ出逢うのです。どれも別段ドラマチックな出来事ではないでしょう。

 しかし、それが起こる前と後とでは、自分自身が何かどこか違っている。まるで一つ一つが小さな“冒険”であったかのように。


 そしてやがてホルテンさん自身でも、度々みずから“冒険”を選ぶようになっていきます。

 老年を迎えた彼に起こるそんな前向きな変化を通じ、寒々しい冬景色を見ているはずなのに、ほかほかとあたたかい気持ちになれる物語。静かで穏やかなクリスマスの夜にもぴったりでしょう。


 それではメリークリスマス! あと18日!

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