第14話

怖いかな?って、どんな意味で?


陛下が怖い?


それとも失敗することが怖い??


この国が怖い?




主語がないからどの意味にとれば良いかわからない?… 


陛下に意味を聞く?


いや、それはダメだ。機嫌を損ねてしまうし、言葉を理解できないおバカな子供と思われるかも…


言葉は裏の意味を理解してこそ、なのだから


けど、多分、自分が、陛下が怖いのか?って意味だよね…きっと…


どうする…




私は口元に笑みを浮かべつつ、小首を傾げて陛下を見つめてみた。


言葉は発しないかが、どういう意味ですか?と態度で聞いてみた。


言葉がダメなら、ボディランゲージである。




陛下も私を見返す。


厭味なのか、たまたまなのか、陛下も小首を傾げてきた。


言葉に直せば『どうかした?』だろう


これは困った、やはり私は何かを言わなければならないようだ。




私は緊張から少し息をのむ。


嘘はダメだ、絶対陛下には見破られる。


私みたいな小娘の腹芸が通用するはずがないし、正直に話すしか手がない。




ここは子供であることを全面にだそう。そうしよう。


意味がわからない振りをしよう、それしかない。


私は結論を出すと、少し息を吐き心配そうな表情をする。  




「そうですね。少し怖いです(陛下が)、失敗したらダメな子供って思われるかもって考えたら、怖くて仕方ないです(属国街道まっしぐらには遠慮したいので)」




陛下の聞きたい答えではないだろうけど、私はマナーの話に終始することにした。


藪を突いてヘビを出す気はないし、嘘はついてない。


実際にマナーの失敗は怖いのだから。


私の失敗で母国が属国になるのは見たくはない。 




陛下がもう一度小首を傾げて私を見る


言葉に直せば『わかってて言ってるよね?』だろうか




わたしも小首を傾げ陛下を見つめ返す


私からは『分かってるけど、言質を取られるわけにはいかないんで』だろうか


伝わると良いけど、いや分かってるよね、あの様子だと




陛下の眼が今度は笑っているのだから




陛下が笑っていた。


今度は眼も表情も笑っている。


今度は安心していいようだ。


私はホッと息をついた。




「姫は面白いな」


陛下の声が楽しそうに弾んでいた。


私は今度は本気で首を傾げる。


面白い要素があったかな?


首をひねってもわからない私は、陛下に確認したくなった。




「何か面白いところがありましたか?」


「そういうところだよ、姫」


声音がちょっと優しい。


私は失礼ながら陛下をまじまじと見つめ、わからないとアピールしてみる。




陛下は変わらず笑ったままだった。


今度は答えを教えてくれる気はないようだ。


そして、機嫌も悪くないらしい。


私はそう判断した。




「さて、話は変わるが、今年は何が良いかな?」




結局、答えは教えてもらえず私のプレゼントの話へ移行した。




陛下は口元に笑みを浮かべ何でも言ってみろ、という雰囲気になっている。


小国の姫の希望などなんてたいしたことはないのだろう。


まぁ、陛下の力なら何でもできるはずだし。




私は小さく唇をなめ慎重に切り出した。






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