1-5
「なんかうれしい」
「そう。ラーメンとギョーザよりはいいと思って」
「それはそれで好きだけど。ねえ、チャーハンのおいしい店知らない」
「ちょっと変わったエスニックなチャーハンを出す店なら知ってるけど」
「これもかなりエスニック」
フミちゃんはそう言ってサンドイッチを一口かじった。
「何て名前だっけ」
「エスニックサンド」
「そのままじゃん」
「そっちほどじゃない」
フミちゃんはそう言って僕の注文したものを見ている。
「ハムとチーズの焼きサンド」
どっちもどっちかな。
「フミちゃん、朝は和食なの」
「ベーコンエッグかな。サラダ付」
「おしゃれだね」
「ベーコンエッグサンドとかにするの」
「ごはんだよ、パンじゃなくて」
「そうか、それもいいね。醤油かけて」
「ウスターソース」
「ギョーザにも」
「ウチのギョーザは何もかけなくてもおいしいんだよ」
「でも、やってみたいな」
「何を」
「ギョーザにウスターソース」
「おいしいと思うよ」
「本当に」
「邪道とか思わないの」
「お父さんはこだわるけど、あたしは平気」
「おやじさん、自家製のたれには自信あるみたいだもんね」
「生きがいみたいなものかな」
僕はハムとチーズの焼きサンドを口に入れて、アイスコーヒーをストローですすった。フミちゃんはジャスミンティーを飲んでいる。
今日はギョーザ屋の定休日。梅雨も明けてテラス席には夏の太陽が降り注いでいる。
「ねえコウちゃん、今日はあたしに何か用があったの」
「別に。ランチに誘っただけだよ」
「用がないとダメ」
「そんなことないけど」
実を言うと僕はフミちゃんに大事なことを伝えていない。
「ゆっくりごはん食べるっていいよね。今日は天気もいいし。これからどこ行くの」
「そうだね、どこに行こう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます