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「なんかうれしい」

「そう。ラーメンとギョーザよりはいいと思って」

「それはそれで好きだけど。ねえ、チャーハンのおいしい店知らない」

「ちょっと変わったエスニックなチャーハンを出す店なら知ってるけど」

「これもかなりエスニック」

 フミちゃんはそう言ってサンドイッチを一口かじった。

「何て名前だっけ」

「エスニックサンド」

「そのままじゃん」

「そっちほどじゃない」

 フミちゃんはそう言って僕の注文したものを見ている。

「ハムとチーズの焼きサンド」

 どっちもどっちかな。

「フミちゃん、朝は和食なの」

「ベーコンエッグかな。サラダ付」

「おしゃれだね」

「ベーコンエッグサンドとかにするの」

「ごはんだよ、パンじゃなくて」

「そうか、それもいいね。醤油かけて」

「ウスターソース」

「ギョーザにも」

「ウチのギョーザは何もかけなくてもおいしいんだよ」

「でも、やってみたいな」

「何を」

「ギョーザにウスターソース」

「おいしいと思うよ」

「本当に」

「邪道とか思わないの」

「お父さんはこだわるけど、あたしは平気」

「おやじさん、自家製のたれには自信あるみたいだもんね」

「生きがいみたいなものかな」

 僕はハムとチーズの焼きサンドを口に入れて、アイスコーヒーをストローですすった。フミちゃんはジャスミンティーを飲んでいる。

 今日はギョーザ屋の定休日。梅雨も明けてテラス席には夏の太陽が降り注いでいる。

「ねえコウちゃん、今日はあたしに何か用があったの」

「別に。ランチに誘っただけだよ」

「用がないとダメ」

「そんなことないけど」

 実を言うと僕はフミちゃんに大事なことを伝えていない。

「ゆっくりごはん食べるっていいよね。今日は天気もいいし。これからどこ行くの」

「そうだね、どこに行こう」

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