第16話 やりやがった!!
「え? 何か言った?」
「いや……なんでも……」
なんでこの子は諦めないんだ?
普通ここまで言われたら諦めるだろ?
てかもう俺が諦められなくなりそうなんだが……。
あぁ……可愛いなぁ……顔血小さいし、目も大きいし……。
だからこそ怖いんだよなぁ。
「俺なんかと居ても楽しくないよ」
「それはまだ分からないわよ」
「あのさぁ……ごめん正直に言うよ。怖いんだ堅山さんと一緒に居るのが」
「え?」
もうこのまま誤魔化すのも無理がある。
そう思った俺は正直に彼女に話す事にした。
「分かるだろ? 俺と堅山さんじゃ住む世界が違うっていうか……その……層が違うっていうか……」
「どういう意味? 層?」
「とにかく! 俺は堅山さんと釣り合わないんだよ! だから好かれてもきっと直ぐに君は情けない俺に愛想をつかすだろうから、それが嫌なんだよ」
「なんでそんな事わかるの?」
「分かるよ……俺は君が付き合っている友人達見たいにコミュ力が高い訳でもないし、友人が多いわけでも運動が得意なわけでもない。そもそも最初にも言ったけど住む世界が……」
「世界が違うってどういうこと?」
「え? そ、それは堅山さんが生活している世界と俺が生活している世界っていうか……」
「別に一緒でしょ? 今こうして一緒に飲み物飲んでるし。それに好きになったのは私の方なんだけど? それなのになんで石嶋君がそんなに自分の私が違う見たいに言うの? 同じ人間だよ?」
「いや、だから空気で分かるだろ? クラス内にはそう言う区分けっていうか、カースト制度ってのが見えないところにあるんだよ」
「それと私と石嶋君が付き合うのと何の関係があるの?」
少し強気な口調で言う堅山さん。
確かにそれを言われれば関係はない。
しかし、俺達が関係無いと思ってもそれを面白く思わない奴やからかう奴がいる。
堅山さんも口ではそう言ってるけど、どうせ直ぐに気が付く。
だから嫌なんだ。
付き合いたくないんだ。
現実を目の当たりにするのが怖いんだ。
「堅山さんだって女子の中で立場とかあるだろ? 俺なんかを彼氏にしたら馬鹿にされるって……」
「……馬鹿にされ無きゃ良いの?」
「え?」
「もしも、私の好きな人が石嶋だって言って馬鹿にされなかったら一緒に居てくれるの?」
「いや、それは……」
まぁ、馬鹿にされなければ……それは別に大丈夫じゃないだろうか?
俺にも堅山さんにも危害が及ばないし……それなら一緒に居るくらいはまぁ……。
「だい……じょうぶ……だと思うけど……」
「分かった。約束したからね!」
「え? あ、うん……」
彼女の勢いに負けてそう言ってしまった俺。
でも、そんなことをどうやって証明する?
そんなの不可能だ。
だから絶対にそんな事はありえないと思っていた。
でも、彼女は翌日学校で……。
「ねぇねぇ」
「ん? なんだよ伊奈」
「どうしたの? そんなマジな顔して?」
「そう言えば昨日なんで石嶋と帰ったんだよ? なんかあったのか?」
「私さ、石嶋が好きなんだけどおかしい?」
「「「「え?」」」」
言いやがった。
堅山さん、何の恥ずかし気もなくいつも一緒に居るメンバーに向かって教室の真ん中で、しかもクラス内の全員に聞こえるくらいの声量で言いやがった!!
「お、おい……あいつあんなこと言ってるけど昨日何かあったのか?」
話を聞いて居た井岡が俺に尋ねてくる。
俺はクラス内からの視線が怖くて机につっぷしていた。
知らない知らない!
俺は何も知らない!
てかここまでやるか!?
こんなのただの公開告白だろ!
絶対あのカースト上位層の奴らから陰口とか言われるって!
てか、吉田に至っては俺を殺そうとして来るんじゃないか?
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